日中韓観光大臣会合4年ぶり開催、共同声明を採択


共同声明署名後に握手する太田国交相(中央)、李局長(右)、金長官(左)

共同声明署名後に握手する太田国交相(中央)、李局長(右)、金長官(左)

 日中韓観光大臣会合が12日、東京都内のホテルで開かれた。日中、日韓の外交関係の冷え込みなどが影響して4年ぶりの開催となったが、観光交流の拡大に向けた連携強化の必要性で一致。3国間の交流人口を2020年に現状の約5割増の3千万人に増やす目標などを掲げた共同声明を採択した。観光客の急増に伴う旅行中のトラブルなどに対応するため、観光当局間の連携を強化することも共同声明に盛り込んだ。

 日中韓観光大臣会合は、2006年7月の北海道での会合を皮切りに、11年5月の韓国・平昌での第6回会合まで毎年開かれたが、日本で開催される予定だった第7回会合が延期となり、以来、休止状態だった。

 4年ぶりに実現した会合には、太田昭宏国土交通相、中国の李金早国家旅游局長、韓国の金鍾徳文化体育観光部長官が出席した。

 共同声明の柱は、(1)「日中韓観光交流新時代の幕開け」と題した3国間の人的交流の拡大(2)欧米などを対象とした3国共同プロモーション「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」の推進(3)旅行者のトラブルへの対応、安全の確保など「観光交流における質の向上」への連携強化。

 3国間の人的交流の拡大では、06年に1384万人だった交流人口が14年には2047万人に増加したことを踏まえ、20年に3千万人の目標を掲げた。地方間、青少年間などの交流を重視し、双方向で拡大策を推進する。

 3国共同プロモーションでは、平昌冬季五輪・パラリンピック(18年)、東京五輪・パラリンピック(20年)などを好機とし、東アジア域外を対象とした共同誘客キャンペーンの実施に向けた協議を進める。

 観光交流の質の向上では、各国の生活習慣の違いに起因する旅行中のトラブルやショッピングに関するトラブルへの対応、旅行者の安全確保などについて、3国の観光当局が連携を強化し、課題の解決に取り組む。

 共同声明署名後の記者会見で、太田国交相は、「実りある議論ができた」と関係者に謝意を表するとともに、中国、韓国からの訪日旅行者が増加傾向にある一方で、日本からの訪中・訪韓旅行者が減少している現状に触れ、「最大の課題は、日本からの旅行者をいかに増加させるか。中国、韓国と連携をとって、観光資源の開拓、ツアーの商品化などに協力したい」と双方向交流に配慮した。

 中国、韓国の大臣もそろって会合の成果を強調。中国の李局長は「これまでの観光協力の枠組みを超えた内容で、中日韓の観光の規範、路線を一体化しようというのが特徴。協力レベルを高め、情報の共有を進めていく」。韓国の金長官は「3カ国を一つの観光エリアにするきっかけができた。東アジアを世界の観光の新たな中心に成長させるために共同で努力する」と述べた。

 来年の第8回日中韓観光大臣会合は、中国湖北省武漢市で開催することに決めた。

共同声明署名後に握手する太田国交相(中央)、李局長(右)、金長官(左)
共同声明署名後に握手する太田国交相(中央)、李局長(右)、金長官(左)
 
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