日本商工会議所はこのほど、2016年度の「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の受賞商工会議所を決めた。大賞は長崎商工会議所(長崎県)の「世界一の夜景都市をめざして〜青年部の提言を地域一帯で実現」が受賞した。表彰式は7月11日、京都市で開催する全国商工会議所観光振興大会の全体会議で行う。
長崎の夜景はかつて、日本三大夜景と呼ばれたが、市の調査で観光客の8割が「夜景を見ていない」との結果に長崎商工会議所が危機感を持ち、12年度から夜景観光の復活に取り組んでいる。
青年部の「世界一の夜景都市長崎を目指す」という提言に市民や民間企業、行政も賛同、13年に「長崎夜景プロモーション実行委員会」が発足。オール長崎で活動を展開してきた。
14、15年の「稲佐山電波塔ライトアップ」では市出身の福山雅治さんの稲佐山コンサートとコラボするなどの試みも。こうした取り組みで15年度の観光客数は過去最多の699万人を達成、宿泊滞在型観光の推進に貢献している。
日商は「青年部の提言を官民連携のうえサポートし、市民も巻き込んだオール長崎での活動を展開している点が評価された」としている。
振興賞は結城商工会議所(茨城県)、日光商工会議所(栃木県)が受賞。このうち、日光商工会議所は07年に中心市街地活性化協議会を設置、中心市街地と観光を結びつける「日光・鬼怒川ゲートタウン構想」を提案した。この構想に基づき、15年4月に観光色の弱い旧今市市域に道の駅「日光街道ニコニコ本陣」がオープン、日光・鬼怒川方面へ向かう観光客が情報を得るために立ち寄る人の波が生まれた。
また、同年には郷土の偉人、二宮尊徳の没後160年にちなんだ観光交流プログラム、今年はビジュアルを重視した訪日外客向けの指さし会話シートを開発し、にぎわいを取り戻すための取り組みを続けている。
観光立“地域”特別賞は岐阜商工会議所(岐阜県)、一宮商工会議所(愛知県)が受賞した。岐阜商工会議所は菓子、シャツ、織田信長という三つの異なるテーマを「岐阜ブランド」として統合し、多面的に展開した点、一宮商工会議所は食文化「モーニングサービス」を地域資源に位置付け、地元の若者や食品メーカーと連携した幅広い事業展開した点などがそれぞれ評価された。
その他の受賞団体は次の通り。
奨励賞=天童商工会議所(山形県)、西宮商工会議所(兵庫県)、岡山商工会議所(岡山県)▽広域連携特別賞=仙台商工会議所(宮城県)、青森商工会議所(青森県)、盛岡商工会議所(岩手県)、秋田商工会議所(秋田県)、山形商工会議所(山形県)、福島商工会議所(福島県)