日本アドベンチャーツーリズム協議会(JATO)はツーリズムEXPOジャパン2024 会期中の9月24日、東京ビッグサイト内のセミナールームで「アドベンチャ―ツーリズム・アカデミー公開講座」を開いた。環境省職員も多数出席した。
同協議会理事で、アルパインツアーサービス代表取締役社長の芹澤健一氏が「世界のAT先進地域と日本のAT地域としての可能性」と題して講演した。
芹澤氏は、世界各地の山岳地帯や辺境、国立公園で登山、トレッキング、自然観察などのツアー企画と運行に携わり、コーディネーターやツアーリーダーとして40年の経験を持つ。国内では地域観光の促進や環境保全、ガイド育成に取り組んでいる。日本古来の歴史や文化を体験できるロングトレイルや、四季折々の自然の魅力を取り入れた登山、トレッキング、サイクリングなど、体験型アドベンチャー・トラベルを企画・プロデュースし、国内各地の自治体や国立公園と連携して世界に発信している。
芹澤氏は、現地ガイドに求められるスキルについて①ガイディング(案内技術)②インタープリテーション(価値伝達力)③トランスレーション(言語通訳力)④コーディネーション(旅程調整・管理力)⑤プランニング(企画運営力)―と指摘。その上で、「自然の生態やエコシステムを学ぶ、地域の歴史や伝統文化を学ぶ。これには、どう見せるか、どう楽しませるかが大切。地域の素材を伝えたいという情熱のある人材、伝達力とオリジナリティ―にあふれる現地ガイドが求められている。地域をこよなく愛する人材こそが最高の案内人。そして、第一印象、笑顔が大事」と強調した。
世界のAT先進地域については、自然保護とレクリエーションの共存に成功している「カナディアンロッキー・バンフ国立公園」の事例、自然と科学の融合で壮大な宇宙を感じる体験「ニュージーランドのデカポ星空観賞ツアー」の事例、原生林の復活と保全といった持続可能な観光モデルを提供している「ニュージーランドのティリティリ・マタンギ島」の事例、地域全体で自然保護に取り組んでいる「スイス・アレッチアリーナとサステイナブルな観光ガイド育成」の事例などについて解説。日本国内における応用の可能性を探った。
JTBとJALが運営協力している日本アドベンチャーツーリズム協議会は、アドベンチャーツーリズム分野における次世代のリーダー育成を目指し、「アドベンチャーツーリズム・アカデミー」を9月4日に開講。芹澤氏による第4回講座を特別公開講座として、ツーリズムEXPOジャパン会場内で実施した。同アカデミーの過去講座はアーカイブ動画でも視聴できるようになっており、随時受講会員を募集している。
講演する芹澤氏