日本国際観光学会(香川眞会長=流通経済大学教授、会員数350人)は18日、同学会の第9回全国大会を流通経済大学新松戸キャンパスで開いた。講堂、教室の7会場で、4つの基調講演・報告と37の研究発表などを8時間かけて行った。大学教員を中心とする学会会員約230人と流通経済大学国際観光学科の学生約70人の合計約300人が参加した。
基調講演は、石森秀三・北海道大学観光高等研究センター長による「次世代ツーリズム創出へ」。続いて、花角英世・観光庁総務課長による「観光庁スタート、現状と課題」、板谷博道・日本政府観光局理事による「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)、現状と課題」、澤邊宏・日本旅行業協会VWC2000万人推進室長による「ビジット・ワールド・キャンペーン、2010年日本人海外渡航者数2000万人達成に向けて」の3つの基調報告を行った。
花角課長は報告の中で「観光庁の当面の課題は、インバウンド、アウトバウンド、国内旅行(イントラバウウンド)の3分野」とした上で、「観光庁発足翌日の10月2日の参院本会議で、麻生総理がインバウンドの政府目標を2020年に2千万人にすると発言し、2010年に1千万人の次の目標が定まった」と紹介した。さらに「アウトバウンドについては、VWCで2010年に2千万人の目標がある。国内旅行にも新たなキャンペーンを展開する必要がある」と言及。VJC、VWCと並ぶ国内旅行振興キャンペーンを観光庁が準備中であることを示した。
香川会長は最終講演「ツーウェイツーリズムとホスピタリティ」を担当。「観光立国は国の姿勢の発信であり、ソフトパワーによる国家戦略だ。アウトバウンドとインバウンドは表裏、特に日中韓3カ国の相互観光交流人口を拡大することが世界平和につながっていく」とツーウェイツーリズムの意義を強調した。
あいさつする香川会長(左)と後方右から板谷、花角、石森の各氏