日本旅行、いすみ鉄道で観光列車運行


折り返し地点の上総中野駅に停車する観光列車

鉄道使い地方創生を

 日本旅行は全国のローカル鉄道と連携した「地方創生観光列車」を企画、運行している。11~12月の土曜日は千葉県のいすみ鉄道で「おとなのピクニック」と題した観光列車を運行。9日の運行開始に先駆けて2日、報道陣とインフルエンサー対象に同列車の試乗会を行った。

 いすみ鉄道はJR外房線の大原駅(千葉県いすみ市)と、房総半島内陸の上総中野駅(同大多喜町)を結ぶ全長約27キロのローカル線。以前は国鉄木原線として運行していたが、1988年、県、市など地元行政が出資する第3セクターに移行した。

 沿線には徳川四天王の1人、本多忠勝を初代城主とする大多喜城のほか、「遮断機も警報機もない踏切」として有名カメラマンの被写体となった「第二五之町踏切」、タレントの渡辺正行さん(コント赤信号)の実家の焼き鳥店「みずほ」など、知る人ぞ知る名所がある。春には桜の花と菜の花が同時に咲く美しい景色が見られ、列車との3ショットを収めようと、多くのアマチュアカメラマンが沿線に訪れている。

 日本旅行が今回企画したのは、「日々忙しく働く30~40代の女性」「泊まりがけで旅行に出掛ける時間はないが、旅行気分を味わいたい人」向けの商品で、タイトルは「美味(おい)しい料理と鉄道のマリアージュ『おとなのピクニック』」。

 かつて国鉄で活躍した「キハ28型」気動車を改造した観光列車を使い、片道約1時間の同鉄道を往復。車内では「いすみ豚のローストポーク」「大原産タコと野菜のピンチョス」「いすみ献上米で握ったおにぎり」など、地元の食材を使った「ランチバスケット」を車窓の景色を楽しみながら味わってもらう趣向だ。

 車内では同鉄道のアテンダントがSNS映えしそうな小道具を持ち、参加者の写真撮影に協力。「先日はこの付近で園児たちが菜の花の種をまいたんですよ」「このあたりは春になると“桜のトンネル”ができてとてもきれい」と、車窓の景色を案内していた。車内には列車のかぶりものを頭に付けた車内販売も登場。地元産のたこを使った「たこめし」や、列車をかたどったパッケージのポップコーンを販売。「これが売れないと家に帰れません」と乗客に“哀願”していた。

 観光列車を企画した日本旅行経営管理部(日本旅行総研)の横倉和子アドバイザーは「鉄道を使った地域おこし、地方創生を全国で行いたい。インバウンドの呼び込みにもつなげたい。千葉県にはディズニーリゾートがあるが、その“先”にも足を延ばしていただければ」と話している。

 日本旅行は北海道の第3セクター鉄道「道南いさりび鉄道」でも観光列車「ながまれ海峡号」(函館―木古内間)を運行。今後も各地のローカル鉄道で観光列車のプロデュースを目指す。

折り返し地点の上総中野駅に停車する観光列車

アテンダントが車窓の景色を案内

車内では地元の食材を使った「ランチバスケット」を提供

 
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