新中計を発表 25年に営利20億円目指す
日本旅行は12月22日、2020年度から25年度までの6カ年の中期経営計画「TRANSFORM(トランスフォーム)2025」を発表した。法人営業への人員の集中配置、リテール会社の統合による店舗網の最適化を進め、最終年度に営業利益20億円などの目標達成を目指す。
同社は17年度から20年度までの4カ年の中期経営計画「VALUE UP(バリューアップ)2020」を推進中。計画遂行途中での新中計移行について同社は、収支や販売目標が最終年度を待たずに達成見込みであることと、旅行業界で個人化、IT化が予想以上のスピードで進み、その対応が急務であることを挙げた。
新中計は6カ年の長期にわたる。これは、最終年度の25年度が同社の創業120周年に当たるため。同年度は同社が地盤とする大阪・関西で万博も開かれる。長期にわたる計画のため、前半の3カ年を「基盤整備」のフェーズ1、後半の3カ年を「追加対応、刈り取り」のフェーズ2と位置付けた。
最終年度までの経営目標として①営業利益20億円規模の達成②構造改革による収益基盤の確立③社員のモチベーション向上―の三つを挙げた。19年度の営業利益は連結で9億1千万円、単体で4億5千万円を予想(昨年8月30日の中間決算発表時点)。「会社の持続的発展、社員のモチベーションアップのため、2桁(10億円以上)が必要」(同社)と、20億円規模の目標を設定した。
ほかの数値目標は2月28日に予定される取締役会を経て発表される見込みだ。
具体的事業戦略は、法人営業では人員の集中配置。20年度に前年度の約1・5倍の140人規模の新卒社員を採用するなど、大都市圏を中心に要員を投入。成長領域のインバウンド、MICE、教育旅行、BTM、地方創生事業の取り組みを強化する。
個人旅行営業ではリテール会社の統合による店舗網の最適化を図る。市中で店舗展開する日本旅行サービス、日本旅行OMCトラベルの各子会社を4月をめどに統合し、リテールの新会社を設立する。日本旅行直営店の運営も後に新会社に移行する。店舗運営の一元化でサービスレベルの向上と効率的な運営体制構築を図る。
商品面では航空会社のIIT運賃の変動制導入に伴う時価型商品などの開発に向けて、システム投資を拡大する。
新たな事業展開として、海外でのグローバル営業、MaaS事業、大阪・関西万博とIRへの取り組みの三つを挙げた。グローバル事業では、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタの現地法人を統括する新会社「NTAアジア」をシンガポールに設立。成長が見込まれる東南アジアで日本へのインバウンドにとどまらず、現地から第三国なども含めたグローバルな営業展開を目指す。