帝国データバンクによると、日本飛行船(東京都中央区、渡辺裕之社長、従業員40人、資本金4億4263万円)は5月31日までに、事後処理を弁護士らに一任し、事業を停止。今後自己破産を前提とした債務処理を進める意向だ。負債は09年3月末時点で約9億5500万円だが、変動している可能性があるという。
同社は02年3月、愛・地球博のPRや飛行船を利用した広告宣伝業などを目的に設立。03年6月には約10億円を投じて「ツェッペリンNT号」を購入し、同年9月には日本郵船の連結子会社となった。04年12月には埼玉県に運航基地を設置。05年1月から飛行船運航を開始し、以後、全国各地で愛・地球博のPR活動などを行い、06年3月期にはその他広告収入なども含め、年収入高約3億6100万円を上げていた。
07年には航空運送事業許可を受けて初の遊覧飛行を始めたが、維持費などの諸経費がかさみ、創業以来赤字決算が続き債務超過となっていた。同年、日本郵船保有の全株式が都内の海運会社に売却され、ツェッペリンNT号も同社に売却。09年には都内の内装工事業者が出資して筆頭株主になるなど資本環境が目まぐるしく変化していた。
3月末、4月末の支払いが遅延する事態が表面化、都内の企業がスポンサーとなるべく交渉を進めてきたが奏功せず、5月末の支払いが困難となり、今回の事態となった。
今後の事業は「現在複数のスポンサー候補と交渉を行っているが、流動的である模様」(TDB)。