日観協、ホテル整備法の登録事務を返上


 日本観光協会は、事業の見直しのため、国際観光ホテル整備法に基づく旅館・ホテルの登録事務を9月30日付けで終了する。日観協は国に認められて事務を行う唯一の「登録実施機関」だが、旅館・ホテルの新規登録の増加が見込めず、審査手数料の収入が限られる中で継続は難しいと判断したとみられる。新たに名乗りを上げる団体や企業が現れなければ、整備法に定められている通り、観光庁が事務を引き継ぐことになる。

 登録事務には、旅館・ホテルの新規登録、内容の変更、抹消などがある。1993年4月施行の改正整備法で日観協が「指定登録機関」となり、国に代わって事務を実施。公益法人と行政の関係見直しなどを踏まえた整備法改正(04年3月施行)後は、要件を満たす団体や企業を登録実施機関とする制度に変わったが、他に申請者はなく、日観協が事務を担ってきた。

 登録事務には国からの補助金などはなく、自主採算で運営する必要がある。日観協では、新規登録手数料(現行6万9200円)と承継手続き手数料(同3万4600円)を収入としているが、採算面は厳しく、昨年の登録実施機関の更新(5年ごと)に合わせて事務の“返上”を検討していたようだ。

 旅館・ホテルの新規登録数は今年度(4月〜)が7月末現在で10軒。昨年度は33軒と比較的多かったが、08年度は18軒、07年度は17軒だった。事務には名称変更、抹消などの手続きもあるが、現行では手数料を取っていない。登録施設は最多時に約3100軒を数えたが、現在は2695軒(ホテル1012、旅館1683)。

 また、日観協は、登録実施機関であると同時に、登録旅館・ホテルの情報を収集、提供する「情報提供事業実施機関」でもあるが、事務の廃止とともに提供事業も終了となる。

 観光庁では、10月から登録事務を引き継ぐ方向で準備を進めている。「今のところ、登録実施機関への申請を準備している団体や企業があるとは聞いていない」(観光産業課)。登録実施機関には、登録基準への合致を判断する能力などが求められるほか、旅館・ホテル業者の関与が深い団体や企業は申請できないなどの要件が定められている。

 民間が登録事務を実施する場合、新規登録の動向が収入に影響を与えるが、大幅な増加は見込めそうにない。国際観光ホテル整備法のあり方を巡っては、観光庁が昨年度、有識者らを委員とする「訪日外国人旅行者数のさらなる拡大に対応した宿泊施設のあり方に関する検討会」で議論。外客のニーズに対応した登録基準の見直し、登録施設に対する支援策の必要性などが指摘されたが、「制度の基本的枠組みは維持」するとの提言が出されている。

 
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