日本観光振興協会(約650会員)は12日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで2013年度通常総会を開き、西田厚聰会長(東芝会長)の辞任に伴う後任会長に、味の素会長で経団連の観光委員会共同委員長を務める山口範雄氏を選任した。総会では13年度事業計画案などを審議、了承。また、9月1日の事務所移転も決まった。来年度総会は東京で開催する。
新会長に決まった山口氏は「観光は日本の経済を強く取り戻す意味で極めて重要な成長分野だ。しかし、世界の観光の潮流の中で日本は大きく立ち遅れた状態にある」との認識を示し、その上で「日本はグローバルな競争の中で勝ち抜かなければならない。これからは組織と組織、国と地域、地域と産業の連携が大事であり、協会はその橋渡し役を務めていく」と抱負を述べた。
一方、西田氏は退任あいさつで「各地で独自の観光イノベーションを起こし、ブランド力、競争力のある観光地域づくりを進めてもらいたい。おもてなしや伝統文化に付加価値をつけ、磨き続けていけば競争に打ち勝っていける」と述べ、観光関係者の一層の奮起を促した。
来賓として井手憲文観光庁長官、総務省の関博之地域力創造審議官が出席、あいさつした。
13年度は、(1)政策提言(2)広報啓発(3)観光地域づくり基盤・受け入れ態勢整備促進(4)人材育成—などの事業に取り組む。今総会は第50回という節目の総会となったこともあり、協会50年史の作成なども盛り込んだ。
総会終了後の情報交換会には太田昭宏国土交通相や鶴保庸介副大臣らが出席。太田国交相は観光立国実現に向けたアクション・プログラムを紹介した上で、東南アジア5カ国のビザ緩和について触れ「夏に発給要件を緩和するとあるが、7月末までにすべてをそろえスタートしたい」との考えを示した。
なお、会長以外の新役員は次の通り。
副会長=梅崎寿・東京メトロ取締役相談役、近兼孝休・日本旅館協会会長代行▽理事=西野史尚・JR東日本執行役員鉄道事業本部安全企画部長▽評議役員=秋山俊行・東京都副知事、荒木慶司・全国市長会事務総長、伊原木隆太・岡山県知事、大山正雄・日本温泉協会会長、菊間潤吾・日本旅行業協会会長、小林哲也・日本ホテル協会会長、桜井正志・全国空港ビル協会会長、広瀬博・東日本高速道路社長
就任あいさつする山口会長