日本銀行がこのほど公表した地域経済報告「さくらレポート」の4月分では、全国9地域の景気の総括判断が全て1月の前回判断から下降した。新型コロナウイルスが影響し、各地域が「弱い動き」「下押し圧力が強い状態」などとした。
北海道と東海が「下押し圧力の強い状態」と厳しい表現。東北、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄は「弱い動き」、北陸、四国は「弱めの動き」とした。
各地の企業などの景気に関する主な声は次の通り。
「新型コロナウイルス感染症拡大の影響が短期で終息するとは考えられず、先行きの不透明感は強い。このため、2020年度に実施予定の宿泊棟の増築工事を当面延期することにした」(北海道、宿泊)。
「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い宿泊客が大幅に減少していることから、一部施設の休業を余儀なくされている」(北海道、宿泊)。
「新型コロナウイルス感染症拡大に伴い宿泊客が大幅に減少する中、従業員の年休取得を促進して対応しているが、客室稼働率の低下が長期化すれば、人員削減に踏み切らざるを得ない」(東北、宿泊)。
「新型コロナウイルス感染症の影響により、国内客・海外客ともに大幅に減少し、客室稼働率は前年の半分以下となる40%程度まで低下している」(北陸、宿泊)。
「足もとの客室稼働率は厳しい状況だが、中長期的には大阪万博の開催や新興国の所得増を受けた宿泊需要の拡大は続くと見込まれる。業界内の競争に負けないようにするためにも、ホテル新設のペースを緩めるつもりはない」(関東甲信越、宿泊)。
「GWまでの宿泊予約が軒並みキャンセルされるなど厳しい状態が続いている。先行きは、新型コロナウイルス感染症の終息後に政府が経済対策の一環として打ち出すといわれている旅行需要の喚起策に期待したい」(関東甲信越、宿泊)。