
「LUCY」のブランドロゴ
星野リゾート(長野県軽井沢町)は4月22日、オンラインプレス発表会を開催し、山小屋をイメージした新しいホテルブランド「LUCY」(ルーシー)を立ち上げると発表した。自然観光による訪日客の地方分散に向けた取り組みの一環で、今年9月1日には尾瀬国立公園に同ブランドの1号店「LUCY尾瀬鳩待(おぜはとまち)」を開業する。
同社の代表・星野佳路氏は、昨今のオーバーツーリズムを「オーバーコンセントレーション(over concentration=過集中)」と定義。インバウンドが一部の大都市に集中していることに加え、日本人の休暇の平準化が重要との認識を示している。具体的には、国内の国定公園などを中心とした「自然観光」の強化を訴えており、近年は山を観光コンテンツとしていく取り組みを展開している。同社が山岳地帯に所有する施設でリブランドも実施しており、昨年12月には群馬県の谷川岳ロープウェイを、新たな観光施設「谷川岳ヨッホ」としてリニューアルした。
今回新たに発表した「LUCY」は、山での宿泊に特化した新たなホテルブランドで、同社が展開する六つ目のホテルブランドとして立ち上げる。ブランド名は、日本各地を巡った19世紀のイギリスの女性旅行家「イザベラ・ルーシー・バード」(1831~1904)に由来。未知の世界へ飛び込んでいく姿にインスピレーションを受けるとともに、より多くの人がそのような新しい旅体験に踏み込むきっかけとなる存在を目指したいという思いから命名した。
ブランドコンセプトは、「心揺さぶる山のホテル」。主なターゲット層は、これまでの登山者層に加え、登山者以外の潜在層にもアプローチする。特に、文化観光目的で来日するインバウンドに向けて山を通した自然観光にも興味を持ってもらい、地方分散を促す狙いがあるという。
「LUCY」のブランドロゴ
同ブランドの第1号施設として、今年9月1日には群馬県片品村に「LUCY尾瀬鳩待」を開業。6月2日に予約受け付けを開始する。尾瀬の玄関口・鳩待峠に位置し、「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」をホテルのコンセプトとする。
ファミリーやグループはもちろん、一人客の需要も見据えドミトリールームも用意。プライベートな寝室や温水洗浄トイレ、シャワー・パウダールームやWi-Fiなども完備し、登山特有の不便なイメージを払拭する。夕食にはこだわりの「LUCY豚汁」を提供するほか、山への出発前には軽食やドリンクなどの必需品を買い揃えられるラストコンビニとして「Food & Drink Station」も出店する。
このほか、ホテルにはカフェやショップ機能を備えた「はとまちベースCafe & shop」も隣接してオープン。日帰り利用も可能で、尾瀬名物の「花豆ソフトクリーム」や、「山菜ぶっかけ蕎麦」などを提供。自然だけでなく食も楽しめる施設を目指す。
同ブランドは今後、立山を含む国内複数の山岳観光地での展開を予定しているという。
「LUCY尾瀬鳩待」の外観