帝国データバンクはこのほど、昨年1年間(2016年1~12月、負債1千万円以上の法的整理)の長野県内旅館・ホテルの倒産動向調査を行った。同年の倒産件数は8件で、前年(5件)比60・0%増加。47都道府県で最多だった。8件中4件と、半数がスキー客向けの営業を主体とする施設を経営する企業だった。
負債総額は53億2900万円で、同556・3%増と、5倍以上の規模となった。
件数は東日本大震災があった2011年に15件を記録。翌2012年も12件と、2年続けて10件を超えた。ただ、2013年以降は4年連続で10件未満にとどまっている。
負債は、過去5年間で最大。過去10年間では3番目に高い水準となった。
同県の旅館・ホテル倒産件数は47都道府県で最多。全体(81件)の9・9%と、およそ1割を占めた。以下は北海道(5件)、富山県(5件)などが多い。
負債総額は石川県(68億1千万円)、富山県(67億7700万円)に次いで3番目に多かった。
同県の倒産件数が高い水準にあることについて同社は「もともと観光県で施設数が多い(ペンションなどの小規模施設も多い)ことに加え、長期的な業績低迷、施設の老朽化、過剰債務などの問題を抱えている企業が少なくないことを物語っている」としている。
倒産を地区別に見ると、「北信」が6件(構成比75・0%)と、他を大きく引き離した。このほか「中信」と「南信」が各1件。「東信」はなかった。
北信の6件のうち、3件が下高井郡山ノ内町だった。また県内の8件中、4件がスキー場周辺に立地し、スキー客向けの営業を主力とする施設だった。スキー場利用者の伸び悩みが影響しているとみられる。
業歴では、「30年以上」が6件、構成比75・0%を占めた。業歴が長く、相応の経営基盤を築いてきた老舗企業が行き詰まるケースが多かった。