観光を活用したまちづくり「観光まちづくり」は、地域資源をただ魅力的にする「地域磨き」だけでは不十分で、効果的なブランディングや地域外から観光客を呼び楽しんで帰ってもらうというマーケティングの視点が必要だと強調する。
そのブランディングとマーケティングを考慮した観光まちづくりについて、8つの地域事例を分析して紹介。観光まちづくりにかかわる人がどうすればいいのか、まちづくりを進めるには何がポイントになるのかを分かりやすく解説する。
地域ブランディングとマーケティング戦略での注目事例として取り上げられているのは、北海道富良野地域の「ご当地カレー」、同函館市の「温泉地再生を目指した函館湯の川オンパク」など。
例えば、温泉街の停滞に危機感を持った湯の川温泉では、別府温泉のオンパクの手法を勉強し、「女将の日本舞踊」「湯けむり寄席」など温泉街の人材や施設を利用したイベントを開催。行政主導でなく、温泉組合がオンパク実行委員会の主体となったため、行政区域に縛られずに北海道江差方面や青森県大間町へのツアープログラムも実施する。観光客のニーズにこたえるプログラムを作り、地域市民らの参加率が80%を超えるなど人気を集めた。
主要な観光スポットからの距離が遠いため従来多くの観光客が「食べて泊まって帰るだけ」で滞在時間が短かった湯の川温泉。この取り組みを通じて温泉街や近隣地域の資源を発掘、育成。市民に新しい湯の川の楽しみ方を提案して、地域外の観光客にも評価された。
ブランディングとマーケティングの視点に加えて、地域主体で地域(観光地)と地域外の旅行会社、観光客両者を結び付けるシステム運営が観光まちづくり推進のカギだと説明している。
問い合わせは学芸出版社(TEL075・343・0811)まで。A5判、192ページ。2100円。