書評「観光活性化のマネジメント」


 国内、海外ともに伸び悩む観光旅行を活性化させるためには「人々が感動、感激できる場面を増やす仕掛け、仕組みが必要」という筆者。仕掛をつくる上で、観光事業関係者や地方公共団体などが実践すべきことを観光経営のマネジメントの観点からまとめた。

 筆者は大学卒業後JTBに入社、関連会社社長などを経て02年から08年まで桜美林大学、同大学院教授。現在は同大名誉教授を務める。

 旅行、観光関連の実務や研究などにかかわる人々、観光産業を目指す学生に向けたもので、各社、各地の成功事例を多数紹介しているため身近で分りやすい。中でもエコツーリズムやグリーンツーリズムからだけでなく、従来からの旅館、ホテルのおもてなしに「感激、感動のある旅行」を演出し創造する要素があると説明。「従業員の対応によって顧客の旅行が楽しくなるかどうか満足度が決まる」と断言している。

 サービス改善や社員表彰などの従業員教育を通じてCS向上を行う加賀屋(石川県・和倉温泉)や古窯(山形県・かみのやま温泉)の姿勢を高く評価している。

 宿泊業の現状分析とホテル、旅館の活性化策についても言及。増大する中高年女性の小グループに着目し、女性たちが好む生け花や香、抹茶のサービスなど、リピーターが訪れる度に新しい発見をできる仕掛けを作ることで顧客を飽きさせずに引き付けられる、など「顧客満足を高めれば収益性を上げる」と強調する筆者ならではのヒントが詰まっている。 

 厳しい時代を乗り越えるには、仕入れ単価を下げたり地域全体の満足度を上げたりして、(1)コスト削減(2)付加価値の付与──が必要だと説いている。

 238ページ。定価は2900円(税別)。発行=同文舘出版。

 
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