札幌市は、国から「札幌コンテンツ特区」として地域活性化総合特別区域の指定を受け、その特例措置として「札幌特区通訳案内士」制度を創設している。研修、試験を経て第1期の特区通訳案内士が誕生し、11月7日に登録証の交付式を行った。登録者は英語、中国語、韓国語の17人。国際的な映画などのロケの誘致を目指すコンテンツ特区の取り組みに対応してロケ地観光などの案内役を期待する。
報酬を得て外国人観光客に通訳案内(通訳ガイド)を行うには、国が実施する国家試験に合格する必要があるが、特区制度では特例として、札幌市が行う研修への受講などを経て資格を取得できる。ただ、通訳案内ができる地域は札幌市内に限られる。
札幌市では、コンテンツ特区として映画やテレビドラマなどのロケ誘致に関する規制緩和や支援制度の充実に取り組み、映像産業の振興とその波及効果による地域活性化を目指している。映像作品のプロモーション効果を観光客の誘致にもつなげる考えで、ロケ地観光などに通訳案内士の活躍を期待している。
札幌特区通訳案内士の研修は8、9月の2カ月にわたって実施され、定員の80人が受講した。札幌市の地理や歴史といった基礎知識、ロケ地観光の特性、旅程管理をはじめ、現場実習や語学研修などを経て、口述試験に合格したのは54人。このうち通訳案内士として従事するために登録したのは現在17人。言語別の内訳は、英語8人、中国語6人、韓国語4人(うち1人は複数の言語で登録)。
交付式では、上田文雄市長が「観光客に札幌に何度も来たいと思ってもらえるようがんばってほしい」と激励し、一人一人に登録証を手渡した。中国語で登録した観光団体職員の幸田順一さんは「観光客の誘致や旅行客の案内にこの資格を生かしていきたい」と意気込んでいた。
札幌市では、国内外からのロケの総合調整や安全管理に当たる人材を認定する「リエゾンオフィサー制度」も創設。今年度内に研修を始める予定。札幌特区通訳案内士の登録者にも合わせて資格を取得してもらい、海外のロケ隊の業務をサポートすることも期待している。
第1期の特区通訳案内士の登録者ら(交付式で)