東京都、宿泊施設向けにバリアフリー支援を拡充 大規模改修も対象に


 2020年のオリンピック、パラリンピック開催に向けて東京都と東京観光財団は、都内の旅館・ホテルなど宿泊施設のバリアフリー化を支援する制度をこのほど拡充した。従来は対象外だった1千平方メートル以上の大規模改修に補助金を出すほか、1千平方メートル未満でも補助率を引き上げる。宿泊施設のバリアフリー化促進事業は観光庁が推進しているが、都道府県でも各地で制度化を進めている。

国や他県も制度化

 東京都の制度は、エレベーターの設置や浴場の段差解消など施設のバリアフリー化、客室のユニバーサルデザイン化、バリアフリーに関わる備品購入について、その資金を補助するもの。昨年度は改修規模1千平方メートル未満について、経費の2分の1を補助していたが、今年度は3分の2に拡充した。補助限度額もバリアフリー化施設整備の場合、500万円から3千万円へ、6倍に拡充した。

 さらに改修規模1千平方メートル以上の大規模改修についても新たに補助対象とした。補助率は2分の1で、補助限度額はバリアフリー化施設整備が2千万円。

 1千平方メートル以上の改修規模については、バリアフリー法や都の条例で義務付けられているバリアフリーに関する対応を上回る整備が対象。例えば「客室総数が50室以上の施設で、車いす使用者客室を既に1室設置しており、2室目以降を整備」「出入り口の幅が85センチ以上で手すりが設置されている等の設置基準を満たした浴室を既に1カ所設置しており、2カ所目以降を整備」などを想定している。

 このほかバリアフリー化を進めるため、コンサルタントに業務を依頼した場合、改修規模の大小を問わず、その経費への補助率を従来の2分の1から3分の2、補助限度額を25万円から34万円に拡充する。

 東京都内の民間宿泊事業者を対象に4月19日から来年2月14日まで、申請を受け付けている。申請額が予算額に達した時点で申請を締め切るが、東京観光財団によると、枠にまだ余裕があるという。財団では多くの利用を呼び掛けている。

 宿泊施設のバリアフリー化支援事業は他の自治体も行っている。鳥取県は「鳥取県宿泊施設魅力アップ事業補助金」として、同県の宿泊施設が行うバリアフリー改装などに経費の2分の1、上限100万円を補助する。和室へのベッド設置、食事どころへの机やいすの設置、トイレの洋式化や機能強化に関わる工事などが対象。

 今年度事業として4月から行い、予算総額は1500万円。申請は現在も受け付けている。

 福井県は昨年度、今年10月に開催される「福井しあわせ元気大会」(第18回全国障害者スポーツ大会)に合わせて宿泊施設バリアフリー整備事業を行った。同大会に参加する選手らが泊まる旅館・ホテルが対象で、バリアフリー客室の設置や障害者用トイレの設置、点字ブロック敷設などバリアフリー化にかかる経費の2分の1を補助した。

 総予算は8200万円。同県によると、福井市やあわら温泉など10軒の旅館・ホテルが同制度を利用している。

 観光庁が今年度進めている「宿泊施設バリアフリー化促進事業」では、6月20日まで補助金交付先を募り、8月6日時点で543事業者への交付が見込まれている。客室の躯体工事を伴わない改修で上限100万円、共有部の改修や客室の統合など躯体工事を伴う大規模改修で費用の2分の1、上限500万円を補助する。

 
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