東北各県は、6月14日の宮城・岩手内陸地震、7月24日の岩手県沿岸北部で発生した地震による夏や秋の観光入り込みへの影響を懸念し、地震の影響なく観光を楽しめることをPRするキャンペーンを始めた。県内宿泊客へのプレゼントなどで誘客を図ったり支援策を公募したりさまざまなアイディアで観光を盛り上げようと工夫。観光客の呼び戻しとさらなる誘客を狙う。
■宮城県
宮城県は8月から県内の指定旅館・ホテルに宿泊した人に県産品を贈るキャンペーンを始めた。
同県ホテル旅館生活衛生同業組合、日本ホテル協会加盟施設300軒に宿泊した人が対象。同様のキャンペーンを実施する場合には参画施設を募ることが多いが、「緊急性が高いキャンペーンのため、県主導で組合などに直接協力を要請した」(同県観光課、小野寺彰英氏)ことから、これまでにない数の施設が参画した。
4〜31日に対象施設に宿泊し、備え付けのハガキに施設の確認印などを押印のうえ応募する。フカヒレの缶詰や味付牛タンなど、宮城県産品カタログギフト掲載の商品を抽選で300人に贈る。「宮城を訪れたより多くの人に、宮城の良さを味わってほしい」と小野寺氏。今回のキャンペーンによって風評を払しょくし、その勢いを10月からの仙台・宮城デスティネーションキャンペーンにつなげたい考えだ。
■岩手県
7月から「いわて・平泉観光キャンペーン」を展開する盛岡県。地震の発生に伴い「元気です!岩手キャンペーン」を併催、安全に楽しめる岩手をアピールしている。
8月11日からは県観光協会が、風評被害払しょくのための復興支援策を公募する予定だ。県内では風評払しょくに腐心するが、「どこも資金難」(泉裕之・同協会観光振興部長)。そのため「私ができる応援策、期待する支援策」と銘打ち手軽にできる支援策案を集めることとした。資金や人手の面などを勘案し、実現可能なものを実施、あるいは県に提案する予定だ。また同県観光ポータルサイト「いわての旅」に案を掲載し、復興支援の輪の広がりを図る。
■青森県
奥入瀬渓流の被害が大きく取り上げられた青森県では8月1、2の両日、夏祭りなどで本格的に観光客が増加する時期に合わせ、「元気です!十和田湖・奥入瀬渓流・八戸キャンペーン」を実施した。青森空港など、県内観光の上で拠点となる交通・観光施設で、三村申吾知事らが元気宣言を行った=写真=ほか、物産を配布するなどして青森の魅力をPRした。
9月には羽田空港で秋の観光素材と「元気な青森」をアピールするキャンペーンを行う予定だ。
■秋田県
秋田県では秋に観光キャンペーンを予定する。特に首都圏では、JR京浜東北線などで中刷り広告などを活用し、「元気な秋田」をPRする。冬の誘客を見据えた活動も検討中だ。また8月29、30日には、同県雄勝地域振興局(湯沢市など)が首都圏でのキャンペーンを実施。首都圏住民や旅行会社に直接観光誘客を働きかける。
宮城県のリーフレット
「元気宣言」を行う三村青森県知事(八戸三社祭で)