東北観光推進機構は7月25日、首都圏の学校関係者、旅行会社を対象にした「東北教育旅行セミナー」を東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開いた=写真。東北への教育旅行を実施した中学校、高等学校が事例発表で東北での学習効果の高さを語った。
お茶の水女子大学附属中学校(東京都文京区)では、修学旅行の行き先を1989年から東北としている。松本純一教諭は「東北は歴史、産業、自然、文学など数多くの学習テーマが存在する。修学旅行にふさわしい場だ」と説明した。
今年は4月に岩手県に行き、遠野での農業・民泊体験、花巻での班別行動、平泉での見学などを実施したのだが、松本教諭が特に感じたのは、「保護者からの感謝の声が多かった」ことだ。「この2年間で保護者の東北に対するイメージが大きく変わった。昨年は放射能や地震の問題を心配する声があったが、今年はまったくなかった」と言う。
宮城県石巻市、南三陸町などでの震災・防災学習を軸にした東北修学旅行を行った千葉黎明高等学校(千葉県八街市)。西村清理事長は、「生徒たちは『東北はもう直っている』とさえ思っていたが、復興の足取りは予想以上に遅く、聞くと見るとは大違い。『これを私たちは伝えなければいけない』と言った」と現地視察での学びの成果を語った。
セミナーではまた、「学校関係者と県・観光団体関係者」「旅行会社と地元受け入れ施設関係者」の二つに分かれた相談会や情報交換会も行われた。