楽天トラベルは10月19日、シンガポールで開催されたアジア最大級のB2B旅行見本市「ITBアジア」で講演した。「日本の旅行業界の現状と国内OTA旅行需要喚起策について」をテーマに楽天トラベル&モビリティ事業長の髙野芳行氏が登壇した。
髙野氏は講演で次のように話した。
日本における物販の商取引におけるオンライン化比率は、世界平均よりも低水準にとどまっており、成長の余地が大きい。宿泊予約についても2020年までは同様の傾向だったが、コロナ禍を経て少し変化がみられている。
例えば、観光庁が発表している主要旅行業者の取扱額を元にすると、「楽天トラベル」の2020年以降の回復は、国内の旅行業全体と比較して堅調に推移してきた。また、国内の泊数ベースにおける月ごとのシェアも、2019年は15%程度だったのが、今年は20%を超える水準で推移している。コロナ禍を経て、旅行予約のオンライン比率は着実に伸びていると考えている。
こうした中、楽天トラベルでは、楽天グループの強みであるポイントとメンバーシップを軸にユーザーのロイヤリティを高めていくとともに、旅行需要の喚起策として、ラグジュアリー、サステナビリティ、ローカルエリアの三つのポイントに注目してアプローチを行っている。
一つ目のラグジュアリーについては、コロナ禍で高級宿への注目が非常に高まった。今年の夏休み期間を対象にした6月時点の予約動向は、コロナ前の19年比で1・3倍に増加。この背景には、サービスや設備が充実したホテルや旅館を利用して、宿泊体験自体を楽しみたいという需要が高まったことが一因としてあると考えている。館内サービスを活用している裏付けの一つとして、夕食付きプランの利用シェアが2019年よりも伸びていることもあげられる。夏休み期間を対象にした夕食付きと夕食なしのプランの6月時点の予約シェアを比較したところ、2022年の方が3年前よりも夕食付きプランのシェアが6・8ポイント増えていた。夜は夕食よりもホテル内での食事を選び、館内でくつろいで過ごす傾向が伺える。また、部屋食を選択する宿泊者も増えている。
二つ目のサステナビリティについても、旅行者の関心が高まっている。楽天トラベルが行った調査では、旅行者の7割超が旅行におけるサステナビリティの課題に高い関心を持っていることがわかっている。そうした需要に応えられるように、宿泊施設のサステナビリティへの対応をユーザーにわかりやすく紹介するなどの取り組みをこれから行っていく。
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