観光庁、厚生労働省、国土交通省の関係部局は11月22日、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届け出手続きの適正化について自治体に通知した。一部の自治体が法令や条例などの根拠がない書類の提出や事前相談を求めたり、国が整備したオンラインの届け出システムの活用が不十分だったりしているとして改善を要請した。
住宅宿泊事業の届け出手続きに関しては、民泊関係事業者や政府の規制改革推進会議が一部の現状を疑問視。手続きがオンラインで完結しないことや、提出書類が多く手続きが煩雑になっていることなどを問題点に挙げていた。
自治体に対する通知では、(1)オンラインの「民泊制度運営システム」を利用した届け出を推奨する措置の徹底(2)法令や条例の根拠がない添付書類の見直し、簡素化、削減(3)法令や条例の根拠がない届け出の際の事前相談や立ち入り検査の見直し―などを求めている。
通知では、添付書類に関して「住宅宿泊事業法、関連省令で定めており、条例やそれに準ずる規定の根拠もなく、追加で添付書類を求めることは不適切」と指摘。条例などの根拠がない事前相談や立ち入り検査では、「これらの手続きを経ていないことを理由に届け出を受理しない行為は、行政手続法に違反するおそれがある」との考え方を示した。
今回の通知は、7月13日付の「住宅宿泊事業の届出に係る受付事務の迅速な処理等について」に続く通知で、住宅宿泊事業の事務を担う101自治体(47都道府県、31保健所設置市、23特別区)を対象に7月末までに回答を求めた実態調査の結果を踏まえて発出した。
観光庁などは実態調査の結果を公表し、不適切な運用の事例や自治体名を具体的に挙げた。法令に規定のない事前相談を那覇市が要綱で、文京区(東京都)がガイドラインで義務付けていたほか、事前相談を推奨している57自治体のうち26自治体が事前相談が必須と誤解されるような案内を行っていたと指摘した。
また、92自治体が法令に規定されていない書類の提出を届け出時に求めていた。提出の根拠は条例、ガイドラインなどに定めている自治体が多いが、山形県、沖縄県、川崎市、神戸市、川口市(埼玉県)、尼崎市(兵庫県)が「根拠なし」と回答したという。届け出のオンラインシステムの利用では、23自治体が「特にシステム利用を推奨していない」と回答した。