住宅宿泊事業法(民泊新法)の政令案、省令案の概要が9月21日に公表された。政令では、都道府県などの条例による民泊(住宅宿泊事業)の制限の基準を規定。条例制定に際しては、市町村の意見を聴取することが省令に定められた。民泊の届け出や年間提供日数に関する事項も省令に規定された。国土交通省、厚生労働省は同日、パブリックコメントを開始し、案に対する意見を10月11日まで募集している。
新法では、民泊の年間提供日数の上限は180日と規定されている。ただし、都道府県、保健所設置市などの条例でさらに日数を制限できる。政令案には、条例による制限は「区域ごとに」「期間を指定して行う」と記載。条例制定の際には、都道府県が市町村の意見を聴取する手続きを行うことが省令案に定められた。
条例による制限の基準について、区域の指定では「土地利用の状況その他の事情」を勘案し、期間の指定では「宿泊に対する需要の状況その他の事情」を勘案し、「民泊に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要」な場合と規定された。
制限の基準は、政省令を踏まえて国が策定するガイドライン(指針)でさらに具体化される。制限の具体例としては、学校周辺の区域を月~金曜などの期間、別荘地の区域を居住者の利用が多い期間、山間部の特定区域を紅葉観光で渋滞が発生する期間などのように示すとみられる。
この他に省令案に定められた主な項目では、民泊が実施できる「住宅」の要件を、(1)人の生活の本拠として使用されている家屋(2)入居者の募集が行われている家屋(3)随時所有者または賃借人の居住の用に供されている家屋―と規定した。随時居住する家屋とは別荘など。
都道府県に民泊の届け出を行う際には、住宅が賃貸物件である場合に転貸の承諾書、住宅がマンションなどの場合に民泊を禁止する規定がないことを示す管理規約の写しなどの添付が義務付けられた。
民泊の年間提供日数の算定方法については、4月1日に始まる1年間に人を宿泊させた日数を数えると規定。正午から翌日の正午までを1日と算定することから、条例の制限がない場合には、年間180泊までの提供が可能となる。
提供日数の遵守に関する規定では、民泊事業者は都道府県に宿泊実績を定期的に報告することが新法に義務付けられているが、省令案では、報告は2カ月ごとに行うことが定められた。
政省令案に加えて、国交省は同日、民泊を実施する住宅に必要な非常用照明器具の設置方法などを規定した告示案の概要を公表し、パブリックコメントを開始した。意見の募集期間は10月20日まで。