厚生労働省、観光庁が設置している有識者会議「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は、民泊の法整備への提言として今月中に最終報告書をまとめる。論点となっている民泊の年間営業日数の上限については、委員の意見集約が進まず、具体的な日数は盛り込まない方向となった。上限日数は、政府による民泊新法の法案化作業の中で「180日以下」の範囲内で具体的に設定される見通しだ。
営業日数の上限に関しては、政府が2日に閣議決定した規制改革実施計画に「半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する」と盛り込まれた。この閣議決定事項の範囲で、具体的に何日にするかが課題として残っている。
検討会の第12回会合が10日に開かれたが、上限設定に関する意見集約は行われなかった。会合後、検討会の事務局を務める厚労省担当課は「さまざまな意見があり、日数にはひらきがある。まとめるのは難しい」との見方を示した。
これまでの委員の議論では、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長の北原茂樹氏が「30日以内」を提案し、ビジネスとしての採算性を求めるのならば、旅館業法の営業許可を取得するべきと指摘。その一方で他の委員からは「賃貸物件の場合、営業日数が半年ではビジネスとして成り立たない」として参入の障壁になる日数制限に反対する意見も出ていた。
営業日数の制限は、「住宅を活用した宿泊サービス」と位置づけられた民泊が、法制度上、「住宅」として旅館・ホテルと異なる取り扱いを受ける合理性のある要件として議論されている。政府の規制改革実施計画では、日数設定に関して「ホテル・旅館との競争条件にも留意する」と明記。ただ、個々の民泊物件の営業日数を把握する仕組みがないなどの問題点が指摘されている。
国交省と厚労省 民泊所管は共管
同検討会がまとめる最終報告書には、民泊を規制する新法を国土交通省(観光庁)と厚労省の両方で所管する「共管」とすることが盛り込まれる方向だ。
共管の理由として検討案では、民泊が住宅を活用した宿泊サービスであるとともに、仲介事業者への規制や感染症発生時の対応などが必要なことを挙げている。地方レベルの所管に関しても、関係部局が複数にまたがると見られ、「混乱のないよう窓口を明確にした上で、関係部局間での必要な情報連携が図られる方向で整理すべき」と指摘している。