民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊法)が6月15日で施行から3年を迎える。法律の付則には、3年経過時に施行状況を検討し、必要があれば見直すことが明記されている。観光庁の蒲生篤実長官は4月23日の専門紙会見で、第三者を含めて施行状況を検証したい考えを示した。民泊を取り巻く環境については、法律の施行で違法物件の排除に効果を上げたが、コロナ禍で旅行環境が大きく変化していると指摘した。
蒲生長官は「施行3年ということで、法の実施状況などを検証する必要があり、担当課で検討している。民泊制度には導入時にいろいろな意見があったので、観光行政としてそれらにお答えできるよう検証していくことが必要だ。具体的な検討項目は言える段階ではなく、いつからとも言えないが、第三者の方々を入れた形で議論を進める場の必要性は認識している」と述べた。
民泊法の届け出住宅数は4月12日時点で1万9192件。「民泊法ができた頃と比較して旅行、観光を取り巻く環境が大きく変化した。民泊に参入した方としても想定とは違う状況だろう。届け出住宅は一定程度増えたが、事業を廃止する方もいる」(蒲生長官)。
蒲生長官は、見直すべき制度上の課題には言及しなかったが、違法民泊対策については、「警察庁や厚生労働省などとの連携を通じて、民泊仲介サイトに掲載される違法物件の排除に関しては効果を出してきた」と説明。民泊の普及に関しては、「都市部だけでなく、人と人との交流、いろいろな体験のきっかけになるような健全な民泊を地方部に普及することが、インバウンドが戻ってくることを考える中で一つの取り組みの方針になる」と述べた。