民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法に基づく届け出住宅数は、観光庁の4月12日時点の集計で1万9192件となり、前年(2020年4月10日時点)比で2193件減少した。直近1年間(20年4月10日以降)で新規の届け出は3299件あったが、廃止の届け出が5492件に達した。インバウンド需要が事実上なくなり、当面回復も見込めないなど、コロナ禍の影響を受けたとみられる。
届け出住宅数は、住宅宿泊事業法が施行された18年6月以降増加し、20年4月10日には2万1385件に達したが、以降は減少傾向にある。コロナ禍で採算が見込めなくなったことに伴う廃業や旅館業など他の用途への変更が主な理由とみられる。
昨年春に新型コロナウイルス感染症が日本国内で流行して以降も、新規の届け出は月間平均で270件ほどあるが、廃止の届け出が月間平均460件ほどに上るため、届け出住宅数は月間平均で180件ほど減少している。
都道府県、保健所設置市、特別区といった住宅宿泊事業の事務を担う自治体別に4月12日時点の届け出住宅数を見ると、上位10自治体は、大阪市1930件(前年4月10日比612件減)▽札幌市1546件(同842件減)▽新宿区1512件(同29件減)▽沖縄県926件(同37件減)▽福岡県841件(同199件減)▽豊島区814件(同162件減)▽渋谷区731件(同173件減)▽京都市614件(同101件減)▽千葉県608件(同52件増)▽北海道596件(同7件減)。減少幅には地域差が見られたほか、増加した地域もある。
届け出住宅における宿泊実績も新型コロナの流行以降、低調に推移している。最新の集計データとなる20年12月~21年1月(2カ月間)の全国における延べ宿泊者数は、21万4847人泊で前年同期比70.4%減となった。主な利用者だった観光目的の訪日外国人旅行者が事実上ゼロとなり、利用者全体の92.8%を国内客が占めている。東京オリンピック・パラリンピックについても海外観客の受け入れ断念が決まるなど、インバウンドの再開は見通せず、民泊の需要回復は厳しい状況が続きそうだ。
届け出住宅のほか、不在型物件などの管理を受託する住宅宿泊管理業の登録件数は4月12日時点で前年比160件増の2290件、仲介サイトなどを運営する住宅宿泊仲介業の登録件数は同10件増の89件となった。