経済産業省はこのほど、消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査の5月分を公表した。消費税を「全て転嫁できている」とした企業は、事業者間取引(BtoB)で84.7%、消費者向け取引(BtoC)で72・7%と、前月からそれぞれ1.3ポイント、2.7ポイント上昇した。消費税転嫁への理解の定着や、消費税率引き上げへの理解の浸透などが理由に挙がった。
BtoB取引では、「全て転嫁」が84.7%、「一部を転嫁」が7.5%、「全く転嫁できていない」が3.9%。このほか経営戦略上、転嫁をしなかったなど「その他」が3.9%。
「全て転嫁」とした企業を7業種別に見ると、製造業が92.1%と最多。以下は運輸業・郵便業の90.5%、建設業の89.8%など。サービス業が78.0%と最も低かった。
価格転嫁ができた理由(二つまで回答)は「以前より、取引先において、消費税分の価格引き上げを受け入れる、という理解が定着しているため」が66.9%、「本体価格と消費税額を分けることにより、交渉しやすくなったため」が24.5%、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否規制が強化されたため」が9.5%—など。
一方、価格転嫁ができていない理由(同)は「自社商品等の競争が激しく、価格を引き上げると他社に取引を奪われてしまうおそれがあるため」が51.2%と最多だった。
BtoC取引では、「全て転嫁」が72.7%、「一部を転嫁」が15.2%、「全く転嫁できていない」が4.9%、「その他」が7.2%。
「全て転嫁」を業種別で見ると、製造業が86.6%と最多。サービス業が62.4%と最小だった。
価格転嫁ができた理由(同)は「消費者において、消費税率引き上げの意義等に対する理解が浸透しているため」が66.6%と最多。
価格転嫁ができていない理由(同)は「景気が回復しておらず、また消費者の財布のひもが固いため」が53.9%と最多だった。