帝国データバンクはこのほど、来年10月の消費税率引き上げに関する企業の意識調査を行った。税率引き上げを予定通り実施すべきとする企業が43.3%、延期や現状維持などとする企業が43.1%と、見方が二分していることが分かった。自社の業績、または業績以外にマイナスの影響があるとした企業は55.1%と半数以上に及んだ。
「税率引き上げを予定通り実施すべき」が43.3%と最も多く、以下、「実施するべきでない(現行の8%を維持)」が24.5%、「分からない」が13.6%、「時期を延期して実施するべき」が12.0%、「消費税率を引き下げるべき」が6.6%だった。
引き上げの肯定派が43.3%、延期や現状維持、引き下げなど否定派が43.1%と、答えが拮抗している。
企業の規模別に見ると、予定通り実施すべきとする企業は大企業が46.2%、中小企業が42.6%、小規模企業が40.4%と、規模が小さくなるほど少なくなる傾向だ。
中小企業からは「次世代に社会保障費等の負担を先送りしないようにすることが必要」「引き上げてもいいが、極力シンプルな制度で引き上げてほしい」「景気が上昇している実感はなく、引き上げを保留すべき」「軽減税率で市場が混乱し、かつ消費低迷を引き起こすと予想される」などの意見が出ている。
消費税率が10%に引き上げられた場合、自社の企業活動にどのような影響があると見込んでいるかを聞いたところ、「(業績に)マイナスの影響がある」が34.2%だった。「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)と合わせて、企業の半数超となる55.1%が消費税率引き上げにより企業活動にマイナスの影響があると見込んでいることが明らかになった。
一方、「影響はない」とした企業は27.6%と、およそ4社に1社。「(業績に)プラスの影響がある」または「(業績以外に)プラスの影響がある」とした企業は2.1%にとどまった。
マイナスの影響があるとした企業を9の業種別で見ると、小売が81.2%と最も高い回答率。以下は、農・林・水産が66.7%、卸売が57.3%、不動産が57.2%など。サービスは48.5%と、最も低くなっている。
企業には、政府に優先的に取り組んでほしい政策も聞いた(複数回答)。トップは「景気対策」で67.8%と、突出して多かった。2位以下は「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)などだった。