消防庁と環境省は13日までに、温泉施設の可燃性天然ガスへの安全対策にかかわる実態調査の結果をそれぞれにまとめた。消防庁では、温泉の汲み上げ設備を屋内に設置している全国479施設を調査。その結果、過去に温泉中の可燃性ガスを調査したことがある施設は全体の約3割にとどまることが分かった。環境省の調査でも、多くの施設が調査を実施していない実態が明らかになっている。
消防庁は、都道府県の各消防本部が実地調査した結果を集計した。温泉中の可燃性ガスの調査では、過去に実施したことがある施設が156カ所で全体の33%、未実施は323カ所で67%だった。井戸周辺で定期的に可燃性ガスを測定している施設は13カ所、全体の3%しかなかった。
全施設のうち、ガス分離器の設置は11%、可燃性ガスの検知設備の設置は5%。汲み上げ設備の設置室内の換気対策では、自然換気が32%、換気装置が45%、対策なしが23%。防爆対策を実施している施設は4%。火気使用制限の実施は27%という結果だった。
また、今回の調査で可燃性ガスに起因する温泉施設の火災事故が過去10年間、全国で11件に上ることも分かった。
一方、環境省は、都道府県を通じて聴き取り調査を実施した。可燃性ガスを多く埋蔵している地域が対象。調査件数は37都道府県の5764カ所。都道府県間で調査の手法や項目を統一しない緊急調査だったため、総数と回答数が一致しないが、メタンガスの調査を過去に実施した施設は782カ所、未実施の施設は3580カ所だった。
井戸周辺のメタンガスの定期的な調査は、実施が120カ所、未実施が4382カ所。ガス検知器を設置している施設は133カ所、未設置は4735カ所。ガス分離器の設置は419カ所、未設置は4689カ所。
井戸や設備の設置場所の内訳をみると、屋内3168カ所、屋外4753カ所。屋内施設の換気方法は、自然換気が1239カ所、換気装置が764カ所だった。