
日本政策投資銀行と日本交通公社は10日、共同で実施した「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」(2019年度版)の結果を発表した。調査では、「温泉のある日本旅館」に宿泊したいというアジアでのニーズは高いが、「実際に宿泊したとする割合との間に差が大きく、ニーズの取りこぼしが見られる」と指摘している。
調査は12年から毎年実施され、今年で8回目となる。今回は、アジア・欧米豪12地域の海外旅行経験者約6千人を対象として今年6月25日~7月8日、インターネットで行った。
「訪日旅行の際に希望する宿泊施設」と「実際に宿泊した施設」を聞いた。温泉のある日本旅館については、アジア全体では宿泊ニーズが74%と高いが、宿泊経験は53%にとどまっている。21%の差がある。欧米豪全体でも宿泊ニーズ55%、宿泊経験20%と30%の開きがあり、アジア全体、欧米豪全体ともにニーズを取りこぼしていることが判明した。特に高価格帯でその傾向が大きい。
同調査では「さらなるインバウンド市場拡大のためには、キャッシュレス対応や、日本人にとっては当たり前である旅館の過ごし方についての外国語での案内といった受け入れ態勢の強化を行うとともに、付加価値に見合った価格の多様性(富裕層の取り込み戦略など)が求められる」とアドバイスしている。
日本滞在中に利用してみたい現地発着型の体験ツアーに関する調査では、「日本文化体験・見学」ツアーの人気が高かった。日本の伝統的な工芸や工房をめぐる体験ツアーの参加については、「したい」「どちらかといえばしたい」の回答は、アジアで83%、欧米豪で80%と、参加意向は非常に高かった。
また、2012年の調査開始以来、アジア8地域にとって、日本は海外旅行をしたい国として8年連続1位を記録した。しかし、希望者の割合は14年からほぼ横ばいだ。「アジアにおいて訪日熱が成熟化しつつある中、さらなるインバウンド市場の拡大を図るためには、欧米豪などのアジア以外の国・地域に対するPRなどが求められる」という。