日本温泉協会の地熱対策特別委員会(佐藤好億委員長)は10日、東京・八重洲で会合を開き、地熱問題への対応を協議した。会合には旅館3団体の役員らがオブバザーバーとして出席、意見を述べた。29日には環境省のヒアリングが開かれる予定で、協会として「無秩序な地熱発電開発には反対」とする従来の考えを改めて主張することを確認した。
会合には特別委の佐藤委員長、協会の廣川允彦会長、環境省の坂本文雄自然環境整備担当参事官のほか、全旅連の野澤幸司常務理事、日観連の中村義宗専務理事、国観連の小関政男専務理事、日本自然保護協会保護プロジェクト部の辻村千尋氏らが出席。
協会は6月の会員総会で「自然保護・温泉源保護・温泉文化保護の見地から、無秩序な地熱発電開発に反対」とする決議文を採択しているが、会合ではこの扱いを巡って意見を交わした。その結果、一部修正した上で、近く同省に提出することにした。
同省は今春、横光克彦副大臣をヘッドとする「自然環境の保全と調和した地熱開発のための検討会議」を設置、これまで主に地熱開発事業者サイドからヒアリングしてきた。29日の会議は温泉事業者や自然保護団体など保護サイドからのヒアリングを行う。
温泉関係では全旅連、温泉協会、日本秘湯を守る会が出席する。この日の会合では、協会から廣川会長や宮崎謹一常務理事らが出席し、意見を述べることを決めた。
会合ではまた、福島県や山形県の地熱発電開発の動きが報告された。このうち、福島では磐梯朝日国立公園で地熱発電所建設の動きがある。県は出光興産や温泉・旅館業、自然保護団体らでつくる情報連絡会を設置、7月末に初会合を開いた。出光は地表調査や温泉モニタリングなどを進めたい意向を示したが、温泉・旅館業者らの反発も強く、議論は平行線をたどっているという。
この日は国立・国定公園の第2種、3種の特別地域を調査、開発範囲に含む、地熱資源開発が計画されている地域が記載された資料も公表された。
あいさつする佐藤委員長(右)