環境省は、東京都渋谷区内の温泉施設で6月に起きた爆発事故を受けて、温泉利用時に発生する可燃性ガスへの暫定的な安全対策を今月中にとりまとめ、都道府県に通知する。暫定対策の案は、可燃性ガスが検知される温泉のうち、源泉やガス分離器(セパレーター)などが屋内または地下にある施設を対象に、ガス検知器の設置や安全担当者の配置を要請する内容。新規に建設する施設には、本格的な対策が決まるまで、源泉などを屋内や地下に設置しないように求める内容を盛り込む方針だ。同省などでは、法改正などの本格的な安全対策を今秋までにまとめる。
温泉利用時の可燃性天然ガスに対しては、施設の安全基準などを定めた明確な法令がない。環境省は6月29日、「温泉に関する可燃性天然ガス等安全対策検討会」(座長=今橋正征・東邦大学名誉教授)を設置し、対策の検討に入った。今月13日には第2回会合を開き、当面の事故防止に向けた暫定対策について有識者に意見を聴いた。
暫定対策の骨子は、(1)可燃性ガスが含まれる温泉のうち、源泉、ガス分離器、源泉タンクなどの設備が屋内または地下に設置されている既存施設を把握する(2)把握した施設の管理者に対し、十分な換気、ガス検知器の設置、周辺での火気の使用禁止、安全担当者の配置を要請する──などの内容。
可燃性ガスが通常含まれることがないと考えられる温泉、含まれないと確認されている温泉は、暫定対策の適用対象外となる見込みだが、微量でも可燃性ガスが検知される温泉は要請の対象に入る。対策を採らない施設には、温泉の汲み上げ停止を要請する。
暫定的な安全対策であることから、運用上の対応と小規模な改修を中心とし、換気やガス検知の具体的な方法、安全担当者の業務内容などには、一律の基準は設定しない方針。個々の施設の特性に応じて管理者が判断することになりそうだ。
暫定対策の実施後に建設を開始する新規の施設に対しては、可燃性ガスを含む温泉の場合、本格的な安全対策が定まるまで、源泉やガス分離器、源泉タンクなどを屋内や地下に設置しないよう要請する方向で検討している。