「源泉かけ流し宣言」を行う全国の温泉地の旅館で組織する「日本源泉かけ流し温泉協会」(田花敏郎会長=奈良県十津川温泉・田花館)の第8回「源泉かけ流し全国温泉サミット」と第2回総会が6月25、26日、福島県高湯温泉の花月ハイランドホテルで開かれた。サミットでは、源泉かけ流し温泉の普及を提唱する同会名誉会長で札幌国際大学観光学部の松田忠徳教授が講演。予防医学の観点から天然温泉の重要性を指摘した。また総会では、「宣言」を行った温泉地以外の旅館も「個人会員」として認めることにし、新たに31軒が入会した。
協会は昨年6月発足。地域の中のすべての施設が加水、加温、循環ろ過をしないという「源泉かけ流し宣言」を行った温泉地の旅館を会員とし、日本独自の温泉文化や源泉かけ流し温泉の普及に努めている。
サミットで講演した松田氏は、会場となった高湯温泉など全国の源泉かけ流しの湯について、「人の細胞を活性化し、自然治癒力を高める、優れた還元力を持つものだ。温泉入浴は予防医学の未来形」と説明。ただ、「(営業形態が)質素ゆえに、非科学的と誤解を受けやすい。関係者は(温泉入浴の効能の)啓蒙活動と勉強を怠ってはならない。自身の温泉に自信を持ってほしい」と述べた。
このほか山形大学地域教育文化学部の川辺孝幸教授が「温泉の湧出機構について」と題して講演。松田氏と佐藤洋(JR東日本福島駅長)、西村りえ(温泉ライター)、遠藤淳一(高湯温泉観光協会会長)の各氏を交えたパネルディスカッションも行った。
高湯温泉の遠藤氏は、「お客さまが高湯に来る目的は、自然と一体となった温泉。震災直後は先が見えなかったが、温泉が止まらなかったことが救いだった。地元で愛される温泉地を目指し、今後もおもてなしに努めていきたい」と述べた。
サミット前日の総会では、新たに「宣言」を行った北海道虎杖浜温泉の旅館と、地域ぐるみではないものの、源泉かけ流しの温泉を利用する全国の旅館31軒の入会を承認した。
◎「源泉かけ流し宣言」の温泉地
川湯・摩周温泉(北海道)▽ぬかびら源泉郷(同)▽虎杖浜源泉かけ流しの会(同)▽高湯温泉(福島県)▽奥塩原源泉かけ流しの会(栃木県)▽関温泉旅館組合(新潟県)▽野沢温泉源泉かけ流しの会(長野県)▽十津川温泉郷(奈良県)▽長湯温泉源泉かけ流し協会(大分県)▽宝泉寺温泉郷(同)
松田氏らを交えたパネルディスカッション