経済産業省は産業遺産を魅力ある新しい観光資源として活用、地域活性化につなげるため、「近代産業遺産群」として認定する方針を決めた。今月下旬から、自治体など地域の関係者を対象に候補地を公募する。
同省は産業遺産活用委員会(座長・西村幸夫東大教授)を設置。10日に初会合を開き、認定制度創設に向けた基本方針を固めた。認定の対象とするのは「幕末から戦前にかけ日本の近代化に貢献した建造物や機器、製品など」(地域経済産業政策課)。
関連する複数の産業遺産を結び付けることでストーリー仕立てにし、周遊コースとして観光客に提示できるようにするのが特徴。イメージとして、(1)官営八幡製鉄所とこれを支えた九州炭鉱遺産群(2)貿易立国の原点としての横浜などにおける近代化産業遺産群──などを挙げている。
同省は4月下旬に同省ホームページ(HP)で産業遺産候補の公募を開始。専門家らに意見を聞いた上で、9月にも産業遺産群を決める予定。遺産群ごとに認定証を発行し、その価値をHPなどで紹介するとともに、10月にはシンポジウムなどを通して全国的な普及を目指す。