6月にも決定 全国で10地域目
文部科学省は17日、ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に推薦していた「甲武信(こぶし)」(埼玉、東京、山梨、長野)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問委員会が登録するよう勧告したと発表した。順調にいけば、6月にパリで開かれる国際会合で正式決定される。
勧告通り登録されれば、国内のユネスコエコパークは計10地域となる。世界の登録総数は昨年7月現在で、122カ国・686地域。
名称は「甲武信ユネスコエコパーク」となる見込み。総面積は4都県12市町村の19万603ヘクタールに及ぶ。甲武信ヶ岳、金峰山など日本百名山に挙げられる山々が連なる奥秩父主稜を中心に、荒川、玉川、笛吹川、千曲川源流部およびその周辺地域をエリアとしている。
甲武信は、地質や岩石の種類の豊富さが植物だけでなく、生息する動物の多様性を高めており、特に蝶類は希少種の宝庫になっている。山岳・神社信仰にまつわる多様な文化も残っている。
エコパークは、長期的に自然環境を保全する「核心地域」、核心地域を保護しつつエコツーリズムなどに利用する「緩衝地域」、人が暮らし、自然と調和した発展を目指す「移行地域」で構成。
このうち、緩衝地域は7万858ヘクタールとなっている。主に秩父多摩甲斐国立公園の第2種、第3種特別地域、普通地域を設定しており、具体的には御岳昇仙峡や西沢渓谷、多摩川源流大学などがこれに当たる。
なお、国内の9地域は次の通り。
志賀高原(長野、群馬)▽白山(富山、石川、福井、岐阜)▽大台ヶ原・大峯山・大杉谷(奈良、三重)▽屋久島・口永良部島(鹿児島)▽綾(宮崎)▽只見(福島)▽南アルプス(山梨、長野、静岡)▽祖母・傾・大崩(宮崎、大分)▽みなかみ(群馬、新潟)
ユネスコエコパークの「核心地域」に含まれる見通しとなった甲武信ヶ岳