来年春、いよいよ北陸新幹線敦賀延伸が実現するが、日本政策投資銀行(DBJ)北陸支店は、これによる石川県内への経済波及効果は年間約279億円になると推計した。また、インバウンド客増加による経済波及効果(参考)は同約48億円と見込んだ。
敦賀延伸で、同県には小松、加賀温泉の2駅が新たに設けられ、金沢駅は終着駅から都市圏間の結節駅になる。金沢駅での乗り換えを余儀なくされていた北陸3県(富山、石川、福井)が再び新幹線でつながり、県都間が1時間以内で結ばれることになる。
同支店は、「北陸地域内の交流促進が期待されるほか、域外からの来訪者増加により地域経済が活性化し、人流や物流、心象風景が大幅に変容することから、北陸全体に大きな変化をもたらすことが予想される」としている。
279億円の内訳は、宿泊サービスや飲食、土産など支払われる「直接効果」が約199億円(ビジネス19億円、観光180億円)、それに伴って誘発される「間接効果」が約80億円と試算している。
移動時間が短縮されることで首都圏や関西圏からの入り込みも増えると予想。2015年の金沢駅開業と比べると、首都圏の場合、ビジネス客が18.3%増の6万1千人、観光客は15.0%増の25万8千人、関西圏からのビジネス客は21.2%増の5万1千人、観光客は53.5%増の33万7千人と推計した。
一方、インバウンドについては、首都圏・関西圏からの増加分は年間約11万3千人。消費単価は観光庁の「旅行・観光消費動向調査」から観光目的3万379円を用いて算出し、「直接効果」は約34億円、誘発される「間接効果」を含めると、経済波及効果は約48億円になるとした。
同支店は経済波及効果をより高め、持続させ、広範囲に波及させるには、(1)北陸エリアとしての魅力を高め、滞在時間を延ばす(2)コロナ後のインバウンド需要の確実な取り込みと課題への対応(3)ビジネス需要によるナレッジ集積・交流促進(4)金沢駅のハブ機能を強化し、ヒト・モノ・情報を北陸域内で循環させる―と指摘した。
建設が進む加賀温泉駅。このほか、小松駅も設けられる