神奈川・箱根地域は4月22日から、渋滞緩和や観光回遊性の向上などを目的とした取り組み「箱根パーク&サイクル」の今年度の事業を開始した。電動アシスト付き自転車の貸し出し拠点、貸出台数を旅館・ホテルの協力により大幅に拡大。車で移動する観光客数を縮減するだけでなく、自転車でまわることで今までとは違った新しい箱根観光の魅力をより多くの人に知ってもらいたい考えだ。
箱根パーク&サイクルは、神奈川県らが取り組む箱根の観光入り込み客数2千万人維持に向けた事業「箱根スマイル2千万人プロジェクト」の一環。箱根は首都圏から近く電車や高速バスなどの交通機関が充実しているが、自家用車やレンタカーでの観光客の集中や駐車場の収容力不足などで繁忙期には渋滞が頻発。観光客の「箱根離れ」につながっているとして、県のほか箱根町と箱根の観光関連事業者が実行協議会を作り、パーク&ライドやパーク&ウォークなどに取り組んでいる。
このうちパーク&サイクルは、電動アシスト付き自転車を有料で貸し出すことで、自動車での観光を減少させようという取り組み。06〜08年にかけ実証実験を行い、昨年から3カ年計画で本格運用を始めた。山がちな箱根でも快適に走れるよう、動力を強めた専用の電動自転車を用意しているほか、利用者への観光施設での割引など、利用促進も行っている。
初年度の昨年は7月から自転車の貸し出しを始めたため、ゴールデンウイーク、夏休みなどの繁忙期を通じての事業実施は今年が初めて。キャンペーン期間の拡大や、貸し出し拠点に箱根仙石原旅館組合の15軒が加わり20カ所となったこと、自転車数が54台から86台に増えたことなどから、昨年の2400台を超える利用が見込まれている。「箱根は豊かな自然も魅力。自転車でまわれば新たな魅力を見つけてもらえるはず」と同協議会。
今年度はパーク&サイクルの拡大、定着に向け、今年は仙石原地域を中心にサイクリングしやすい道路の整備なども進める予定。貸し出し拠点の拡大にもさらに取り組み、パーク&サイクルの定着と地元主体の運営基盤の確立を図りたい考えだ。
電動自転車利用料金は1時間500円、3時間1200円。平日の午前9時〜午後4時、土日休日の午後1〜4時は、1回二千円で乗り捨て利用も受け付ける。
電動アシスト自転車のカギには、箱根寄木細工のデザインをあしらった手形がついており、利用者は手形を提示すれば100店舗以上の飲食店や日帰り入浴施設などで割引やドリンクサービスなどの特典が受けられる。
キャンペーンは、11月30日まで。
箱根寄木細工をデザインした貸し出し用の電動アシスト付き自転車(箱根高原ホテル)