福島県石川町の母畑温泉、八幡屋(渡邉忠栄社長)はこのほど、高温の新源泉の掘削に成功した。阿武隈地方では高温の湧出は見込めないと言われてきたが、温泉の温度は自然湧出で43度に達し、湯量は毎分350リットルに上る。今年秋までに施設を整備し、利用を開始する。新源泉をPRし、原発事故の風評被害に苦しむ福島観光の活性化にも貢献したい考えだ。
新源泉は八幡屋の西側約1.4キロの地点で深度は1454メートル。将来的には湯温45度以上、湯量500リットル以上が見込めるという。泉質はアルカリ性単純泉。
八幡屋によると、阿武隈地方には、湯温23〜27度の温泉しかなく、高温の温泉の湧出は初めて。原発事故の風評被害の払拭につながる事業にしようと、掘削工事に取り組んだ努力が実を結んだ。
渡邉社長は「阿武隈地方の観光振興や住民の福利厚生の充実につなげたい。秋には自然環境を存分に取り入れた施設をつくり、観光客誘致に生かし、地域の住民にも開放していきたい」と話す。
6日には現地で記者発表会も行い、地元のマスコミなどに新源泉の掘削成功を福島観光の明るい話題としてアピールした。
新源泉について紹介する八幡屋の渡邉社長