福島県いわき市、復興に向け新たな取り組み


 いわき湯本温泉など福島県いわき市の官民で、東日本大震災からの復興に向けた新たな取り組みが進んでいる。旅館協同組合では、震災時の行動指針をまとめた「対応おもてなしマニュアル」を作成。いわき市役所では農産物や空間の放射線量を公表する「見せる課」を開設した。工場見学など「ヘリテージツーリズム」も積極的に進めている。

 いわき市湯本温泉旅館協同組合は、東日本大震災を教訓とし、震度6〜7の地震に対応した独自のもてなしマニュアルを作成した。

 情報収集、状況判断、安否確認、安全確認、連絡などといった震災時の行動や、宿泊客の誘導に関する指針をまとめたもの。

 組合では「おもてなしの視点でお客さまの安全、安心を確保していく取り組みを、旅館・ホテル、商店街、飲食店が一体となり、地域ぐるみで推進している」という。

 いわき市は10月1日、市役所内に「見せます!いわき情報局 見せる課」(通称=見せる課)を開設した。農産物をはじめ、水産物、空間、土壌などの放射線量をウェブサイトなどを通して公表している。市では2011年10月に「いわき農産物見える化プロジェクト」を開始。食の安全、安心を消費者自らに判断してもらおうと農産物や農地の放射線量をウェブで公表してきた。今回は公表の範囲を拡大したもので、市では「生活者の皆さまが本当に知りたい情報をどんどん発信し、見せていく活動を積極的に行う」という。

 近代以降、現役を含めた有形・無形の産業遺産を活用した観光「ヘリテージツーリズム」も推進している。石炭産業で栄えた同市に残る「いわき炭田遺産」をはじめ、自動車エンジンの組み立て、加工を行う日産いわき工場や、勿来発電所の見学メニューが用意されている。

 また旅館協同組合が中心となり、「震災から学ぶ観光プロジェクト」を推進。「震災を風化させず、未来に語り継ぐ取り組み」として、震災を体験した地元ガイドが語り部となり、観光客らを被災地に案内する事業を行っている。

 
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