立命館大学ビジネススクール(RBS、肥塚浩・研究科長)は3日、同大大阪梅田キャンパス(大阪市)で「観光マネジメント専攻設置記念シンポジウム」を開いた。観光地経営や観光をけん引するリーダー像について基調講演やパネルディスカッションを実施=写真。観光産業の課題とともに、最新の観光経営を学ぶ意義の共有を図った。
基調講演では、2024年度から新専攻の客員教員に着任予定の原忠之・セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部准教授と、専任教員に着任予定の山田雄一・公益財団法人日本交通公社理事が講演。
「DMO先進国、米国の観光地経営が日本に示唆する観光地経営とリーダーシップ」をテーマに講演した原氏は米・オーランドのDMO組織の成り立ちや経営陣の概要、財務基盤などを紹介しながら日本版DMOの課題を指摘したほか、日本の観光産業の課題といわれる低賃金問題にも言及。「インバウンドの増加などで売り上げが伸びる今こそ、増加分を内部留保せずに非正規従業員の人件費アップに回すことで産業全体の待遇改善と生産性向上を目指すチャンスである」と語った。
次いで「社会を切り開く観光サービスの展望」をテーマに講演した山田氏は京都や沖縄などを例に、観光消費額が上がっても宿泊・飲食サービス業の生産性が上がらない日本の観光産業の問題点を指摘。サービス経済社会への移行が進む一方で「モノからサービスへの価値転換」が進まない日本の現状や、観光サービスが経験財であることをベースに旅行者の年収や学歴による需要者の規定や、旅行経験値に比例したニーズの高度化などを説明した。
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