箱根町活性へシンポジウム


活性化について活発な意見が飛び交った

活性化について活発な意見が飛び交った

 明治以来多くの外国人観光客を「おもてなし」してきた観光資産「ハコネ」を見つめ直して再活性化しようと、観光振興懇話会(TPA、作古貞義会長)と箱根町(山口昇士町長)は2月27日、「シンポジウム 国際観光地『ハコネ』の活性化を考える」を湯本富士屋ホテルで開いた。箱根の観光事業者ら約140人が参加した。日本にある6つの観光学会の主導的立場にある学識経験者で構成するTPAの調査委員会が中心となり、箱根町と共同主催したもの。総合司会は田中掃六TPA理事が行った。

 山口昇士箱根町長は「観光客2千万人、宿泊客500万人を当面の目標にしているものの、バブル期の91年に記録した観光客2247万人、宿泊客556万人にはほど遠い状況だ。箱根は成熟した観光地で難しい課題も多いが、外部の識者の声を真摯に受けとめる謙虚さが必要だ」とあいさつ、シンポジウム開催の意義を強調した。TPA顧問の藤野公孝国土交通大臣政務官と中野正志自民党国土交通部会長からの祝電も届いた。

 観光カリスマ100人のうちの1人でもある斉藤文夫神奈川県観光協会長は基調講演で「05年に神奈川県を訪れた観光客は、1億6116万人で、宿泊客が1276万人、日帰り客が1億4840万人だった。そのうち外国人観光客は120万人で、うち42万人が箱根町を訪れている」と国際観光地ハコネの現状を紹介。「外国人観光客を増やすことが天下のハコネの活性化につながる」とした上で「訪日外国人客の62%は韓国、中国、台湾、香港から来ている。受け入れ態勢の整備が大事」と述べた。

 作古TPA会長がコーディネーターを務め、山口町長、数馬勝箱根町観光協会理事長、岡本伸之TPA理事がパネリストとして参加した「第1部シンポジウム」では、「ハコネの名前ばかりが先行している。外国人が不自由なく旅行できる環境を整える必要がある」「東アジアからのお客さまに心の底から『ウエルカム』の気持ちを持たなければならない。相手は敏感だ」(山口氏)、「箱根町が誕生して50年だが地域ごとの一体感に欠けている。相互連携が必要だ」(数馬氏)、「企業にも観光地にも寿命があると言われている。ただ、環境の変化に対応し、顧客の欲求を満足させることができれば、復活も永続もできる。箱根にはそれだけの魅力がある」(岡本氏)などの意見が出された。

 「第2部参加者とのミーティング」には、山口祐司TPA会員をコーディネーターに、榎本孝弘箱根温泉旅館協同組合副理事長、高橋正美富士箱根ゲストハウス代表、竹澤政子箱根湯本芸能組合理事、作古TPA会長、井上博文TPA会員、岡本TPA理事、田中TPA理事、淡野民雄TPA理事の各氏がコメンテーターで登壇した。

 一般参加者で長年芦ノ湖畔に住んでいる男性からは、「箱根は堤康次郎氏、五島慶太氏が開発、旅客輸送に専念し、駅そばの一杯も売らなかった。箱根はそれで潤った。ところが今の旅館はお客を館内に閉じこめていて問題だ。また、箱根には鯉の活き作りという名物料理があるのに観光資源として十分に生かされていない」という辛口の意見も出された。

 TPAでは「観光地の活性化や外国人観光客の受け入れなどに貢献するため、今後も全国各地でシンポジウムを開催していきたい」(高木豊彦TPA事務局長)と話している。

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