日本経団連と日本商工会議所は11月29日、東京・大手町の経団連会館で初共催となる「観光立国シンポジウム」を開催した。観光業界関係者ら約400人が出席し、盛況だった。
冒頭あいさつした日本経団連の大塚陸毅観光委員長(JR東日本会長)は、政府の行政刷新会議による事業仕分け「再仕分け」で、観光予算が厳しく評価されたことについて触れ、「新成長戦略で観光は柱の1つと位置づけられている。(そのことと再仕分けで)齟そ齬ごがあるのはいかがなものか」と述べ政府の姿勢に疑問を示した。
その上で「観光立国実現は重要な国家戦略であり、必要な取り組みには十分な予算を確保すべきだ」と強調した。
来賓の竹歳誠国土交通事務次官は同省の観光施策を説明するかたわら、「再仕分けの指摘を踏まえ、(観光予算の)所要の額を確保したい」と述べた。
シンポジウムは「わが国観光のフロンティアを切り拓く」をテーマに、各地の先進的な取り組み事例を報告。
「飯田市のグリーンツーリズム」と題して講演した牧野光朗市長は、体験教育旅行や大学との連携によるフィールドスタディなどを紹介。「体験教育旅行は96年当時、3校に過ぎなかったが、今や110校を受け入れ、プログラムの延べ利用者数は約4万6千人に上っている」と成果を強調した。
このほか、トヨタテクノミュージアム産業技術記念館の布施直人氏らが報告するとともに、「地域の取り組みを観光立国につなげる」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
経済団体の観光重視がうかがえたシンポ