総務省「地域おこし協力隊」と「地域活性化起業人」 観光の現場でも多くの事例


制度を担当する総務省の宮川氏(左)と藤岡氏

 都市部から過疎地などに移住し、地域活性化への活動を行ってもらう「地域おこし協力隊」。観光の分野でも多くの事例がみられるようになった。また、その企業版ともいえる「地域活性化起業人」事業が2014年に始動し、一定の成果をあげている。

 地域おこし協力隊は、都市部などに住む人たちに、三大都市圏外や、同都市圏でも離島など「条件不利地域」を持つ市町村に一定期間移住し、自治体が求める活動を行ってもらうもの。総務省により2009年に始まった。

 農林漁業、地域産品の開発・販売、情報発信など、各自治体が課題とするさまざまな事業について、外部の人々の斬新で柔軟な視点で取り組んでもらうとともに、将来の移住も含めて定住人口の拡大を目指すもの。

 自治体が募集し、応募者の中から選考を経て採用を決定。任期はおおむね1年以上から3年以下で、報償費用などを国が支援。協力隊に委嘱された人は採用先の自治体に住民票を移して活動する。

 参画する自治体、隊員ともに事業初年度から大幅に増えている。初年度の31自治体、89人から、昨年度は1164自治体、7200人と、過去最多となった。事業に参画可能な自治体は1461で、既に約8割の自治体が同制度に参画していることになる。

 主な活動内容は「農畜産業、林業、漁業への従事」「地域産品の生産・加工・開発・流通・販売・マーケティング」「地域や地域産品の情報発信・PR」など、自治体ごとにさまざまだが、「観光資源の企画・開発」「観光・宿泊施設の運営」など、観光に関わる活動も少なくない。

 最大3年の任期を終えた隊員には、任期中に培った仕事のノウハウや人脈を生かして現地で起業をしてもらうなど、地域への定住を促す。2018年度から22年度に任期を終えた隊員のうち、57・2%が活動した地域、12・6%が活動地域の近隣に定住したとのデータがある。また同一市町村に定住した隊員の45・9%が起業をしている。業種は飲食サービス業が279人と最も多いが、宿泊業が198人とそれに次ぐ。宿泊業以外の観光業も106人と多い。

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