縄文遺跡群勧告に喜びと期待の声


垂れ幕を掲げて勧告を喜ぶ函館市縄文文化交流センターのスタッフ

受入れ態勢整備や特別企画展など計画

 北海道と青森、秋田、岩手県の4道県で世界文化遺産の登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」に対し、5月26日にユネスコの諮問機関イコモスから登録にふさわしいとする勧告が出された。これにより7月に開かれる世界遺産委員会での登録決定が確実となり、4道県や遺跡群の所在市町では、喜びと期待の声が広がり、登録を見据えた動きが活発化している。

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、津軽海峡を挟んだ北海道と青森、秋田、岩手の北東北3県に点在する1万5千年前から2400年前にかけた縄文時代の17遺跡で構成。北海道からは、函館市と洞爺湖町の各2カ所、伊達市と千歳市の各1カ所の計6遺跡が入っている。

 北海道の鈴木直道知事は、イコモスの勧告を受け、「登録に向けて大きく前進した。引き続き文化庁や北東北3県、関係市町と緊密に連携し、登録実現に取り組んでいきたい」と喜びのコメントを発表。

 函館市など4市町でも、それぞれ市長や町長から勧告の歓迎と登録の実現を期待するコメントを出し、市民にホームページや庁内放送で伝え、垂れ幕を掲げるなどして喜びを広げている。

 また、6遺跡の現場でも、新型コロナの感染拡大による移動制限が要請されていることから、その解除を待ってとなるが、訪れる人たちの増加に対応できるよう、それぞれ見学エリアや案内表示の整備、定時ガイドの実施などの受け入れ態勢づくりを進めている。

 特に函館市では、2遺跡のうち未公開だった垣ノ島遺跡の発掘調査や見学路などの整備を終え、7月から公開を始める。近接地にある道内初の国宝「中空土偶」や出土品を展示している縄文文化交流センターでも、特別企画展の開催を計画している。

 一方、道においても、4市町と遺跡群のPRや観光客の受け入れ態勢の整備などで連携する協議会設置の検討や4道県による広報活動、記念フォーラムの開催を考えるなど、登録の実現を見据えた取り組みを加速させている。

 世界遺産の実現は、北海道が力を入れる体験型観光や教育旅行にも大きなアピールポイントとなり、観光客の増加が見込まれるが、それらに応えた環境整備と保全、遺跡群を支える地域の人づくりなど課題も少なくない。

 4道県の知事会議で世界遺産を目指して取り組むことを決めてから14年。登録の意義をしっかり踏まえ、地域一体となって保全・活用・発信し、未来に伝えるとともに、観光振興や地域の活性化につなげていくことが期待されている。

垂れ幕を掲げて勧告を喜ぶ函館市縄文文化交流センターのスタッフ

 
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