航空各社が4月から投入している、シニア層向けの割引運賃が好評のようだ。平日休日関係なく利用が見込め、景気の影響を受けにくいシニア層を取り込もうと、定額給付金の支給額を意識した値段設定の特別運賃を投入したり、従来のシニア対象運賃を値下げしたりするなどして訴求したところ、予約、利用状況とも好調。値下げ前の予約実績の3倍の予約数となっている会社も出ている。
全日本空輸(ANA)が4〜6月に設定しているシニア層向けの新運賃「シニア空割」は、一律片道9千円。搭乗日に満65歳以上のANAマイレージクラブ会員であることが利用条件のうえ、事前予約ができないなど制約は多いが、「多数の問い合わせが来ている。利用状況も好評」とANA広報室。
ANAではこのほか従来から設定している、65歳以上を対象に普通運賃の約25%を割り引く予約可能な運賃「シニア65割引」についても、4月1日〜6月30日搭乗分を値下げし、多くの路線を片道1万2千円で利用できるようにした。
ANAのように従来のシニア対象運賃を値下げする動きは、日本航空(JAL)の「シルバー割引」、エア・ドゥ「DOシニア60」、スターフライヤー「スターシニア」でも見られる。いずれも1万2千円を意識した価格設定。
このうち普通運賃の約25%を割り引くJALのシルバー割引は、4月1日搭乗分から片道1万2千円均一としたところ、「予約数は従来のシルバー割引の約3倍」(同社広報部)と大きな反響を得ている。
スターシニアは、4月1日〜7月16日と9月全日搭乗分について北九州〜羽田線片道1万7600円、北九州〜関西線片道1万3200円を1万1800円に値下げしたところ、18日現在の利用状況は前年比40%増。19日以降の申し込みについても同170%増となっており、「従来の利用者以外の方も多く取り込めている」(同社広報担当)という。
エアドゥは20日出発分からの適用と発売して間もないが、割引前に比べ週末の北海道発便を中心に予約の入りは好調。同社では、「シニア層は景気の影響を受けにくい。割引が重要喚起につながれば」と期待する。