茨城県は、東日本大震災や福島原発事故の風評被害で大幅に落ち込む観光客の回復を図ろうと、ツアーを催行する旅行会社などに無償で観光バスを手配する「いばらき周遊観光促進事業」を打ち出した。県内の宿泊施設や観光施設を利用することを条件に、発着地と茨城県の間のバス運行を事業予算で負担する。旅行商品の造成を促し、団体客の誘致を目指す。
今月中にも受け付けを開始し、事業期間は来年3月末まで。先着順で運行予定台数に達し次第終了とする。予定台数は期間中、1日平均2台の運行を計画している。
対象は、旅行会社または団体旅行を行うグループ。条件として(1)20人以上の参加(2)県内宿泊施設への宿泊(3)県内観光施設1カ所以上の立ち寄り(4)県内土産店または食事処への立ち寄り──のすべてを満たす必要がある。
バスの運行区間は、茨城県内に宿泊する当日の配車地から茨城県内までの区間と、茨城県内に宿泊した翌日の県内から配車地までの区間。配車地と想定するエリアは首都圏やその周辺県など。遠方からのツアーでも空港や駅と茨城県内を結ぶ区間の利用が可能。
県商工労働部観光物産課は「風評を払しょくするPR事業などと併せてバスの提供を実施し、県内の観光客を早期に回復させていきたい」と話している。
事業で負担するのはバス運行費用で、有料道路代、駐車場代など別途生じる費用は旅行会社などの負担となる。