２位下呂、３位別府八湯 特別賞に熱海、城崎
観光経済新聞社が主催する人気温泉地ランキング「第３１回にっぽんの温泉１００選」で、草津温泉（群馬県）が１５年連続となる１位を獲得した。草津温泉は９月２０日の中間発表でも１位で、投票期間後半もその勢いが衰えなかった。２位は下呂温泉（岐阜県）で昨年の５位から上昇。別府八湯（大分県）が昨年の２位から３位に後退した。観光経済新聞社は、温泉１００選と同時に実施した２０１７年度「人気温泉旅館ホテル２５０選」なども決めた。（７面ににっぽんの温泉１００選全ランキング、１２面に人気温泉旅館ホテル２５０選）
にっぽんの温泉１００選は、旅行会社やネットエージェントが人気の温泉地を投票で選ぶランキング。旅行のプロの目を通して、どの温泉地が旅行者に支持されているのかを探るのが目的だ。併せて、各温泉地がランキングの上位を目指して地域の魅力づくりに磨きをかけ、日本の温泉地全体がレベルアップすることも狙いとしている。
後援は観光庁に加え、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本温泉協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会、日本政府観光局、公益財団法人日本交通公社の９行政・団体。本社と後援団体で構成される実行委員会が１日、東京都台東区の本社で審査会を開催した。主要な国内観光団体がすべて関わっており、にっぽんの温泉１００選は、観光業界が認める権威ある温泉地ランキングと言える。
投票方法は今回もＪＴＢや近畿日本ツーリスト、日本旅行をはじめとする大手・中堅の旅行会社や、じゃらんｎｅｔ、楽天トラベルなどのネットエージェントに投票用はがきを配布。７月１日から１０月末までの投票期間に集まった有効投票はがき枚数は８８７４枚。１枚のはがきに５カ所までの温泉地を記入できるため、総投票数は２万３１５８票となった。
１位の草津温泉は、三名泉の一つで、古くから名湯として知られる。「泉質主義」をうたい、温泉の質の良さをアピールする。湯けむり舞う地域のシンボル「湯畑」、水で薄めずに湯の温度を下げる「湯もみ」など、温泉地らしい風情を楽しめる。温泉街の活性化に地域ぐるみで取り組んでおり、「御座之湯」「湯路広場」といった新たな施設や広場なども整備している。
２位の下呂も、草津、有馬と並んで三名泉の一つ。近年はインバウンド誘致に加え、エコツーリズムやガストロノミーツーリズムなど先進的な取り組みにも力を入れる。
３位の別府八湯は、浜脇、別府、亀川、鉄輪、観海寺、堀田、柴石、明礬の８温泉の総称。同じ別府市内にありながら、それぞれ泉質が異なり、さまざまな温泉を体験することができる。
４位の指宿温泉（鹿児島県）は昨年の３位からダウン。昨年７位の有馬温泉（兵庫県）が５位に入った。６位の道後温泉（愛媛県）、８位の登別温泉（北海道）、９位の黒川温泉（熊本県）、１０位の城崎温泉（兵庫県）は昨年と同じ順位。トップ１０は昨年と顔ぶれが変わらず、全体的には大きな変動がなかった。
審査会では、地域の活性化に努めている温泉地を讃える実行委員会特別賞に「熱海温泉」「城崎温泉」を決めた。熱海温泉は「宿泊客の減少傾向が続いたが、市の財政に対する危機意識を事業者、住民が共有して各種事業に取り組み、観光地としてのにぎわいを取り戻した」こと、城崎温泉は「地域連携により観光客の誘致施策を強化し、インバウンド旅行の分野でも人気が高まっている」ことが高く評価された。
１７年度の人気温泉旅館ホテル２５０選は、入選した２６７軒（一つの企業が同じ温泉地内で複数の宿泊施設を経営する場合、その宿泊施設すべてを合わせて「１選」それぞれを「１軒」と数える）のうち、初入選は１２軒だった。５回以上の入選を果たした優秀な旅館・ホテルの２２７軒には「５つ星の宿」の称号を贈る。
１７年度の入選施設への認定証授与式は来年１月２５日に東京の浅草ビューホテルで開催する。
実行委員会による審査会（１日）
にっぽんの温泉１００選実行委員会メンバー（順不同）＝佐藤英之・日本旅館協会専務理事▽清澤正人・全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会専務理事▽荒井英世・日本温泉協会事務局長▽興津泰則・日本旅行業協会国内・訪日旅行推進部長▽若井茂・全国旅行業協会事務局長▽相京俊二・日本観光振興協会常務理事▽山田洋・日本政府観光局インバウンド戦略部長▽梅川智也・公益財団法人日本交通公社・理事、観光政策研究部長▽積田朋子・観光経済新聞社社長
