被災県支援へ、旅館団体動く


福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野理事長(写真左)が経営する磐梯熱海温泉・ホテル華の湯。 玄関に「がんばろう!ふくしま」「ガンバレ!東北」「ガンバレ!日本」と大書きした看板が掲げられている (写真中央は全旅連・佐藤会長、右は新潟県旅館組合・野澤理事長)

福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野理事長(写真左)が経営する磐梯熱海温泉・ホテル華の湯。 玄関に「がんばろう!ふくしま」「ガンバレ!東北」「ガンバレ!日本」と大書きした看板が掲げられている (写真中央は全旅連・佐藤会長、右は新潟県旅館組合・野澤理事長)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の東北地方太平洋沖地震災害対策本部は6〜8日、震災で大きな被害を受けた茨城、福島、宮城、岩手各県の旅館組合を慰問に訪れた。対策本部長の佐藤信幸・全旅連会長と、同本部委員の野澤幸司・新潟県旅館生活衛生同業組合理事長が4県の旅館組合理事長に旅館3団体(全旅連、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟)が集めた義援金を手渡すとともに、現地の生の声を聴取。復興に向けて、業界挙げての支援を約束した。

 被災県では電気、水道、電話、鉄道などのライフラインが徐々に復旧し、営業を再開する旅館・ホテルも増えているが、消費者の旅行の自粛傾向や、福島第一原発の事故による風評被害が重なり、周辺地域も含めて宿泊客の入り込みは極めて厳しい状況だ。

 福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野豊理事長は、「このままでは県内の旅館・ホテルは半分になる」と強い危機感をにじませる。

 菅野理事長によると、同県の組合加盟施設は約650軒。このうちいわき市など浜通り地区は約8割、福島市、郡山市など中通り地区は約3割が地震の直接、間接の被害で現在休業中という。

 菅野理事長が経営する旅館がある磐梯熱海温泉も25軒のうちおよそ5軒が休業。地震の直接被害は窓ガラスが割れた程度で少ないものの、原発の風評被害が大きく、「観光客がゼロ」の状態だ。同温泉は原発から約70キロ離れているが、事故の影響は少なくない。現在、警察や工事関係者の宿泊、被災者の受け入れで営業を続けているが、「とにかく先が見えない。地震がなくてもここ数年、厳しい経営環境が続いていたところだ。今回の震災を機に、閉めようという旅館もかなり出てくるのではないか」と危惧する。

 営業の継続には金融面での支援が欠かせない。低利の運転資金の供給、借り入れの返済猶予など、震災の直接、間接の被害にかかわらず、金融機関の弾力的な対応が求められるところだ。

 菅野理事長は、「原発事故が終息しなければすべてが始まらない」として、国の迅速な対応を求めた上で、佐藤会長らには、旅館・ホテルの金融問題対策、復興へのシナリオの作成、補償を受ける際に必要とされる営業上の被害額の算定手法の標準化を要望。佐藤会長は全面的な支援を約束するとともに、東北地方への旅行需要を喚起するため、同地方の高速道路の当面の無料化などを政府に陳情する考えを示した。

福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野理事長(写真左)が経営する磐梯熱海温泉・ホテル華の湯。 玄関に「がんばろう!ふくしま」「ガンバレ!東北」「ガンバレ!日本」と大書きした看板が掲げられている (写真中央は全旅連・佐藤会長、右は新潟県旅館組合・野澤理事長)
福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野理事長(写真左)が経営する磐梯熱海温泉・ホテル華の湯。
玄関に「がんばろう!ふくしま」「ガンバレ!東北」「ガンバレ!日本」と大書きした看板が掲げられている
(写真中央は全旅連・佐藤会長、右は新潟県旅館組合・野澤理事長)
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒