北京で開かれた日中韓サミットに際し、野田佳彦首相は13日、中国の温家宝首相と会談した。野田首相は、震災以降の日本への渡航制限の見直しを要請した上で、被災3県(岩手、宮城、福島)を訪れる中国人個人観光客に対し7月1日から数次査証(ビザ)を発給することを表明した。
数次ビザは有効期限内であれば、何度でも日本を訪問できる。中国人旅行者の誘致を通じた東北のインバウンド観光の復興が期待される。数次ビザは昨年7月に沖縄への訪問を条件に導入されている。十分な経済力を有する者を対象として有効期間は3年。導入後、半年間で発給件数は約9千件に上っている。
このほか被災地と中国を結ぶ航空便の再開についても要請。震災の影響で運休となっている福島〜上海便などの再開を求めた。
ビザの要件緩和 交流拡大に奨励
日中韓共同宣言
日中韓3カ国は14日、北京で13日に開いた首脳会議の共同宣言を発表した。観光については、観光交流の重要性を確認し、人的交流の拡大に向けビザの要件緩和を奨励することを盛り込んだ。
2015年までに3国間の人的交流規模を2600万人に拡大する目標の達成に向けてビザの緩和に加えて、姉妹・友好都市交流を拡大することを奨励した。
また、日中韓の大学間の交流を強化する「キャンパス・アジア」の取り組みの着実な進展を歓迎し、さらに連携を深めて取り組んでいくことでも一致した。