観光の灯を消してはならない 「長期支援、誘客を」能登半島地震で石川県旅組理事長


被災前の和倉温泉。1日も早い復旧・復興を皆が願っている(写真提供‥石川県観光連盟)

 1日に発生した令和6年能登半島地震で石川県能登地方を中心に大きな被害が出ている。同県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)前会長、自身の宿(和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘)も大きな被害を受けた多田計介氏に現在の状況、復興への思いを聞いた。多田氏は「観光の灯を消してはならない」と、被災した旅館・ホテルへの国からの長期にわたる支援を求めるとともに、キャンセルが続く同県のほかのエリアや近県の施設への誘客支援を要望した。


多田氏

 和倉温泉は建物の直接被害が大きく、多田氏が経営する美湾荘も復旧のめどが全く立たない状況。現在は地域のインフラの工事関係者らを宴会用の大部屋で受け入れているが、損傷が激しくこれらの関係者を受け入れられない旅館・ホテルもあり、地域全体の復旧に支障が出るのではと多田氏は危惧している。

 多田氏は国に向けて、地方自治体の復旧工事で国からの補助率が上がる激甚災害指定を要望するほか(11日に閣議決定)、宿泊施設の雇用維持に向けて、「コロナ禍で実施された雇用調整助成金の特例措置を再び講じてほしい」としている。

宿泊業界における被災者の受け入れについて多田氏は「県と連携して促進させたい」と同県旅館ホテル組合理事長の立場で強調。

 石川県の能登半島以外の地域や近隣の富山、福井、新潟各県では施設の直接被害は少ないものの、宿泊キャンセルが多発している。多田氏は「建物被害が大きくない地域には、極力キャンセルをせずに旅行に行っていただきたい」。

 3月16日には北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業する。「3月になれば少し落ち着いてくるのではないか。旅行へのムードを沈滞させないことだ」。

 旅行業者に向けては「災害はどこでも起きる可能性がある。皆で支えることが大事だ」と、能登支援を目的とした各方面への義援金付きツアー催行など、キャンペーンの実施を考えてほしいと提言した。


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