観光庁、「着地型旅行」担う事業体を支援


人材育成検討会の初会合

人材育成検討会の初会合

 観光庁は着地型旅行を活性化させるため、企画、販売を担う地域の事業体を「観光地域づくりプラットフォーム」と位置づけ、地域と市場(旅行会社、旅行者)を結びつけるワンストップの窓口として機能させたい考えだ。近くモデル事業を全国6地域でスタートさせ、プラットフォームを立ち上げるための人材育成や事業計画づくりを後押しする。

 地域特有の魅力を生かした体験や交流を提供する着地型旅行の普及は、地域の観光振興に期待が大きい。ただ、地域が商品を造成しても、消費者、またはマスの流通を担う旅行会社にうまく販売できないケースも少なくない。プラットフォームにはその間をつなぐ機能が求められている。

 プラットフォームには、観光振興と融合したまちづくりの組織としての側面もあるが、観光庁では立ち上げ支援に向け、事業体の要件として(1)観光事業者に加え、農商工業など多様な関係者の参加(2)着地型旅行商品の企画、販売機能(3)持続的に収益を確保できる仕組み(4)株式会社やNPO、社団法人、LLC(合同会社)などの法人格──などを挙げている。

 モデル事業では、プラットフォームの設置を目指す6地域を今年3月末にかけて支援する。各地域からプラットフォームを担う意欲ある人材を集めて研修の機会を提供するほか、各地域での事業計画づくりに助言や講師の派遣を行う。研修には観光庁が昨年度まとめた「観光地域づくり人材育成ガイドライン案」を生かす。

 支援対象の候補地域はすでに選定し、近く正式決定する。候補地域には旅行業登録を持つ株式会社やNPO、観光協会などがあり、農業や商工業の関係者が事業活動にかかわっている。持続的な活動ができるよう着地型旅行商品の販売以外にも収益事業があることも重要視されている。

 モデル事業候補地域の中核組織は次の通り。

 株式会社ツーリズムてしかが(北海道)、NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク(岩手県)、一般社団法人福島市観光物産協会(福島県)、株式会社とみうら(千葉県)、大歩危・祖谷いってみる会(徳島県)、財団法人阿蘇地域振興デザインセンター(熊本県)

事業スタートで検討委が初会合
 モデル事業の開始に向け、観光庁は5日、有識者で構成する観光地域づくりプラットフォーム・人材育成検討会(座長=清水愼一・立教大学観光学部特任教授)の初会合を開いた。委員らがプラットフォームの機能やモデル事業のあり方について議論した。

 プラットフォームの形成に関して、JTB地域交流ビジネス推進室マネージャーの山下真輝氏は「旅行ニーズの多様化に対応するため、多様な関係者を巻き込む工夫がいる。旅行商品を販売するだけの組織ではなく、物販業やレストラン業といった事業との連動のあり方が重要ではないか」と指摘した。

 人材育成では、ジャパン・オンパク代表理事の鶴田浩一郎氏が「プラットフォームと言っても、実際には中小企業、零細企業が中心になる。リーダー、組織運営、マーケティング、1人で何役もこなす必要があり、実態を踏まえて支援しなければいけない」と述べた。

 プラットフォームに関して観光庁は、今年度のモデル事業のほか、来年度予算の概算要求にプラットフォームの立ち上げ、自立を促す補助金を盛り込んでいる。現行の観光圏への補助事業に代わるもので、観光圏整備実施計画に基づきプラットフォームが実施する事業を支援する方針。

人材育成検討会の初会合
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