観光庁、外国人増加で入れ墨客の入浴対応模索


 観光庁は、入れ墨(タトゥー)がある人の大浴場や温泉の入浴の可否に関する旅館・ホテルなどの対応のあり方を模索している。入れ墨がある外国人旅行者の入浴に際してトラブルとなるケースがあるからだ。宿泊施設へのアンケート調査の結果、入浴不可が約6割、シールで隠すなどの条件付きで許可が1割を占めると分かったが、今後の対応を検討するには、さらなる実態把握が必要として詳細な調査を改めて行う考えだ。

 日本国内では反社会的なイメージが強い入れ墨だが、外国人の場合は、伝統文化や宗教、生活習慣、ファッションなどに基づく入れ墨が多い。外国人旅行者の温泉などへの入浴が増える中、施設の対応のあり方が課題になっている。

 観光庁は10月21日、全国の旅館・ホテルなど3768施設を対象に実施したアンケート調査の結果を公表。日本旅館協会、日本温泉協会、全日本シティホテル連盟、日本ホテル協会を通じて調査票を送付。回答数は581施設、回答率は15.4%だった。

 入れ墨がある人の入浴への対応では、「断っている」が55.9%、「断っていない」が30.6%、「条件付きで許可している」が12.9%。周知方法は、「ポスターや看板などの設置」が70.2%、「受け付け時に直接断る」が14.5%だった。

 断っている施設、条件付きで許可している施設に、判断の経緯を聞くと、「風紀・衛生面の問題で自主的に」が58.6%、「業界・地元事業者で申し合わせた」が13.0%、「警察、自治体などから要請、指導を受けた」が9.3%。観光庁によると、行政からの要請、指導に関しては、厚生労働省、警察庁ともに本省庁は方針を打ち出しておらず、地域によって対応に違いがあるようだ。

 入れ墨を巡るトラブルの発生の有無については、「ない」が78.3%、「ある」が18.6%。入れ墨を巡る施設への一般客からの苦情では、「ない」が51.8%、「ある」が47.2%だった。

 観光庁としての今後の対応方針は未定で、今回のアンケート調査の結果を踏まえつつ、現場の実態についてさらに調査を行う。条件付きで許可している場合の具体的な条件、地域ごとの対応の違い、トラブルや苦情の詳細などを把握する。

 観光庁の田村明比古長官は、10月21日の専門紙向け会見で「多くの外国人に快適に日本を体験してもらうための環境整備はどうあるべきかを考える、というのが大きな方向性。風紀・衛生面を含めてバランスがとれるのはどこか、関係省庁の意見も聞きながら検討していきたい」と述べた。

 当面、観光庁では、施設側に外国の入れ墨に関わる文化などの情報を提供したり、外国人旅行者に日本人の入れ墨に対する一般的なイメージを説明したりするなど、施設と利用者の間に摩擦が起きないよう情報発信を工夫していく考えだ。

 
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